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車の保険に加入する際、選択肢の1つとなるのが共済です。
ただ、この共済についてよく分からないと思っている人も多いのではないでしょうか。
「そもそも共済とは何なのか?」
「損害保険と共済の違いは何なのか?」
このような根本的な疑問を抱いている人も少なくないはずです。
選択肢の一つだからこそ、共済と損保についてしっかり理解しておきたいですよね。
そこで今回は「共済」と「損害保険」の違いについて解説していきたいと思います。
なお、補償内容や保険料、ロードサービスの違いなど、具体的な契約に関する違いについては下記記事を参考にしてください。
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そもそも共済とは
「共済」とは、「互いに助け合う」「みんなでお金を出し合って目的の為に使う」といった意味があります。
自動車共済に当てはめると、ある組合員(共済加入者)が事故を起こした時に、全組合員が拠出した掛け金から損害額を補填します。
「全体で困っている個人を助ける」そんなイメージですね。
組合員とは地域や職域などある一定の共通した人たちが対象になります。
各共済で対象者は異なります。
例えば、JA共済の場合では、農家を営んでいる人が組合員対象者です。
ただ農家を営んでいなくても「准組合員」として参加することが可能で、また組合員にならずに共済を利用する「員外利用」という制度もあります。
この准組合員や員外利用の制度は共済によっては採用していない所もあります。
その場合には組合員になることで共済を利用する事になります。
組合員になるためにはどうすればいい?
組合員になるための条件を満たす必要があります。
条件は以下の2つです。
- 出資金を払うこと(一口100~1,000円)
- 地域や職域の条件を満たしていること
組合に加入する為の出資金に関しては組合を脱退するときに全額返還されます。
共済と損保の違い
「共済」と「損保」の違いは以下の通りです。
比較項目 | 共済 | 損保 |
---|---|---|
目的 | 助け合い | 営利目的 |
加入対象者 | 原則組合員 | 不特定多数 |
取扱商品 | セット商品が多数 | 自由度が高い |
根拠法 | 農林共同組合法 など様々 | 保険業法 |
セーフティネット | ない | ある |
違いについて、それぞれ以下で詳しく見ていきます。
目的の違い
共済は組合員を助ける事を目的としています。
共済事業により利益を生む事が目的ではありません。
仮に利益が発生した場合は、出資金に応じて出資配当金が配られます。
なお、出資配当金は出資金に対して年1%前後となるケースが多いようです。
毎年度の業績に応じて変動します(配当金が無い事も当然あります)。
一方、損保は株式会社ですから営利目的で事業が行われます。
発生した利益は株主への配当等に回されます。
このように営利目的であるかどうかという点が両者の大きな違いです。
また、営利目的ではない事から自動車共済は損保に比べて少し割安になることがあります。
運営の意識としては自賠責保険に近いような気がしますね。
加入対象者の違い
前述したように、共済の加入対象者は原則組合員ですので、地域や職域に限定されます。
一方、損保は不特定多数を対象にしています。
ただJA共済のように原則が形骸化している共済もちらほら有るので、加入対象者の違いについては曖昧になってきていますね。
取扱商品の違い
共済では、取り扱う商品がシンプルなセット商品となっている事が多いです。
補償が充実したAプラン、掛け金が割安なBプラン、といった感じですね。
不要な特約もセットされてしまうデメリットがあります(自由に設計できる共済も増えつつあります)。
一方、損保では、商品も幅広く、自由に設計できます。
希望する補償・特約が具体的に決まっている人は、損保の方が向いているかもしれませんね。
根拠法の違い
損保の根拠法は保険業法ですが、共済の根拠法は様々です。
例えば、JA共済は農林協同組合法、全労済は消費生活協同組合法となっています。
この根拠法の違いによって、使われる言葉が変わってきます。
主な物を列挙しておきますね。
共済 | 損保 |
---|---|
〇〇共済 | ○○保険 |
掛金 | 保険料 |
共済金 | 保険金 |
「保険」という言葉は保険業法でのみ使えるので、共済の場合には「自動車保険」ではなく「自動車共済」という表現になります。
また「保険料」も「掛金」といった表現になります。
セーフティーネットの有無
セーフティネットとは、企業などに経済的リスクが発生した時に契約者を保護する仕組みです。
このセーフティネットが共済にはありません。
一方、損保には損害保険契約者保護機構というセーフティネットがあり、損保が破綻しても契約者は保護されるようになっています。
なお、規模の大きな共済では破綻した場合に契約者を保護する制度を独自に確立している共済もあります。
JA共済の場合だと、仮に大阪のJAが破綻したとしても兵庫や京都等の他のJAとJA共済連がカバーする事により契約者は保護されます。
ただし、これはあくまで規模が大きい共済の場合であって、規模が小さい共済が破綻した場合には契約者が保護される可能性は低いです。
共済に加入する際は、契約者を保護する仕組みについても念のためチェックするようにしましょう。
自動車共済に加入する際の注意点
自動車共済に加入する際に注意して欲しい事をいくつか紹介しておきますね。
共済・損保間で等級を引継げない場合がある
共済が取り扱う自動車共済も損保と同様に等級制度を採用しています。
割引率は損保とほぼ同じ割引率となっています。
しかし、気を付けたいのは等級の引継ぎです。
損保間では問題ありませんが、一部の共済から損保に契約を変更する場合には等級を引継げない場合があるためです。
この場合、また6等級からのスタートとなってしまいます。
JA共済や全労済などは多くの損保が引継ぎ可能ですが、その他の共済に関しては保険会社によって取扱が異なるので、共済に加入する際には将来の契約変更も考えて加入するようにして下さい。
特に教職員共済とトラック共済には注意してくださいね。
掛金は安いが比較することが大切
共済は営利目的ではないので、比較的掛金が安いという特徴が有ります。
しかし、自動車共済の多くは、不必要な特約が付帯されているセット商品であったり、リスク細分項目が損保に比べると少ない傾向にあるので、実際に見積もりをしてみたら損保のほうが安い場合もあります。
そのため、損保・共済の両方の保険料(掛金)を比較する事が大切です。
【参考】無認可の共済に関して
一昔前までは、法律上の規制がない無認可共済がいくつかありましたが、平成18年に保険業法改正により認められなくなりました。
改正後は保険会社か少額短期保険業へ移行しなければならなくなったため、今現在、無認可共済は存在しないはずです。
そのため、無認可共済に関する注意点は特にありません(改正前は合法だったのですが、規制する法律がなかったため、保障・経営に関する信頼性に不安がありました)。
少額短期保険業とは、保険金額が少額かつ保険期間が1年(第二分野である損害保険に関しては2年)である保険商品を取り扱う事業です。
具体的な取扱商品は、事故臨時費用保険やペット保険、自転車保険などです。
ただし、少額短期保険業に移行したからといって安心というわけではありません。
移行後もセーフティネットはなく、やはり破綻した場合には契約者が保護される可能性が低いです(保証金の供託制度は有り)。
利用の仕方によっては便利な少額短期保険ですが、契約者保護についてはまだまだな点があります。
もし加入を検討する際は、この点についてしっかりと検討するようにしてくださいね。
主要な共済の一覧
最後に主な自動車共済の一覧を載せておきます。
- JA共済
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
- 全国自動車共済協同組合連合会
- 全国中小企業共済協同組合連合会
- COOP共済
- 県民共済
- 教職員共済
- 都市職員共済
- トラック共済等
この他にも様々な共済がありますので、あなたの住んでいる地域に根ざした共済や仕事関係の共済等について調べてみてはいかがでしょうか?
まとめ
当サイトは自動車保険に関するサイトですので、事例として自動車共済を多く用いて「共済」と「損保」の違いについて解説しました。
ただ車の保険以外にも生命保険や火災保険など、様々な分野で共済と損保が選択肢として競合すると思います。
その際に「共済と損保って何が違うんだっけ?」とならないように、しっかりと理解しておいてくださいね。
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