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自転車事故は自動車事故に比べると大きな事故になりにくい為、あまりニュースにはなりません。
しかし交通事故の中で自転車事故が事故全体の2割前後を占めている事はご存知だったでしょうか?
出典:日本損害保険協会
このような状況を鑑みると自転車事故に対して何も備えないというのは無防備過ぎると思います。
さらに言うと最近では自転車事故においても高額な賠償命令が下されるケースも発生しています。
たかが自転車、されど自転車なのです。
そこで今回は自転車事故に備える為の各種保険について紹介していきたいと思います。
なにも自転車保険だけが選択肢では有りませんよ!
自転車事故の賠償金額
保険に加入する前に、自転車事故においてどれだけの賠償金額が発生しているのかについて見ておきましょう。
補償金額が多すぎると保険金の支払い過ぎになりますし、補償金額が少なすぎると実際に事故が起こった時に困ってしまいます。
発生する可能性のある賠償金額に見合った保険金額を設定しておかなければ保険の意味は無いですからね。
■自転車事故の高額賠償金額
賠償金額 | 事故内容 |
---|---|
約9,521万円 | 小学生が時速20km超で60代女性に衝突し後遺障害を負った事故 |
約9,266万円 | 高校生と会社員の自転車同士の事故 |
約6,779万円 | 片手で下り坂を走行中に女性と衝突し、女性が死亡した事故 |
約5,438万円 | 信号無視をして交差点に進入し、女性と衝突し女性が死亡した事故 |
約4,043万円 | 高校生が信号無視をして横断中に、オートバイと衝突し運転手が死亡した事故 |
最近では1億円近い賠償金を支払わなければならない事故が発生しています。
こういった金額を知らずに何となく保険に加入してしまうと、必要な補償が受けられない可能性が有りますので注意が必要です。
月額100円といった格安の自転車保険も販売されていますが【補償金額が1千万円しか無い】というケースも珍しく有りませんのでしっかりとチェックしておきましょう。
自転車事故に対しての保険の選び方
さきほども少し話に出てきましたが、自転車事故専用の自転車保険が販売されている事を知っている人もいるかと思います。
しかし、自転車事故に備える為の保険だからと言って自転車保険を選択するのは早計です。自転車保険以外にも自転車事故を補償してくれる保険はその他にも存在しますし、むしろそれらを選んだ方が経済的であったりします。
結論から言うと自転車保険は最後の手段ということになります。
それでは自転車事故を補償してくれる保険について見ていきましょう。
①自動車保険(任意保険)
ここでいう自動車保険は自賠責保険ではなく任意保険の事です。
多くの人が自動車を保有していると思いますので、自転車事故に備える際にはまず加入している任意保険で自転車事故を補償出来るかチェックしましょう。
任意保険では人身傷害保険や自転車傷害特約によって、自転車による自身の怪我が補償されます。
また個人賠償責任特約で相手への賠償金額を補償してくれます。
自動車保険による自転車事故の補償に関しては、別途詳細に記事にしていますのでそちらも参照して下さい。
自転車事故を補償出来ない任意保険に加入している場合は、自動車に関する補償の見直しも併せて任意保険会社の変更を考えてみるのも一つの手だと思います。
自転車の補償を追加しても前より保険料が安くなる場合も有りますからね。
②火災保険
自動車保険の次に考えるのが火災保険です。
火災保険も自動車保険と同様に加入している人が多いと思います。
なぜなら、賃貸物件に住んでいる人は契約の条件として火災保険の加入が必須だからです。
火災保険は基本的に住宅の火災による被害や損害を補償する保険です。
なので自転車事故とは全く無縁な気もしますね。
しかし、火災により相手へ損害を与えた場合に補償する個人賠償責任特約は自転車事故での損害賠償も補償できる特約となっています。
ただし、火災保険では自転車事故によって傷害を負った場合の補償は有りませんので、別途傷害保険に加入する必要があります。
③傷害保険
傷害保険は怪我に対する保険ですから当然自転車事故によって怪我をした場合も補償対象になります。
また相手への損害賠償の補償は個人賠償責任特約を付帯する事でカバーする事ができます。
傷害保険は上記二つに比べると加入している人は少ないと思いますが、自転車事故を補償する選択肢の一つとなります。
④自転車保険
最初に言ったように上記の3つの保険でカバーできなければ、最後に自転車保険の加入を考える事になります。
自転車事故に備える場合には1種類の保険だけで考えるのではなく、様々な保険を横断的に見なければならないのでちょっと話はややこしくなってしまいます。
なので、今回紹介したように【自動車保険⇒火災保険⇒傷害保険⇒自転車保険】という順に補償を考えてみると、スムーズかつ経済的に保険を組み立てる事が出来ますので参考にしてみてください。
ファイナンシャル・プランナー(FP)からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
FPからのコメント
記事に書かれている通り、自転車保険は、個人賠償責任保険と傷害保険、場合によっては携行品特約から構成されています。
事故対応の中で、歩行者(自転車)が事故の相手方であった場合、「交通弱者だから過失は少ないんでしょ」と言われる事が多いですが、最近は決してそうした事は無く、歩行者であったとしても事故の状況により過失割合が発生します。
特に、車×自転車の場合、車との損傷免責が大きくなる可能性があり、そうなると修理金額も高額となります。また、示談交渉においても、車対車の事故の場合、ドライブレコーダーで事故状況を把握する事が可能です。しかしながら、自転車の場合、学生の通学用途であれば、事故状況を正確に把握する事は困難な為、示談交渉が長引く事が予想されます。
個人的には、GoPro等のカメラを活用して、ドラレコと同様に動画を撮影し記録を残しておくのが望ましいと考えます。後は、事故をした際に、親も子もパニックに陥る事が多いので、予め事故が発生した際は、どの様に対応するのかを事前に決めておくのが良いと思います。
まとめ
自転車人口の増加に伴い、自転車に乗る人も乗らない人も自転車事故に備えなければいけない時代になってきています。
自分は乗らないから保険はいらないという人も家族のことを考えてみてください。
子供や配偶者が自転車に乗っていませんか?各保険の補償内容によっては、保険契約者だけではなく家族の事もしっかり守れる内容のものもあります。
自動車事故もそうですが、自転車事故もいつ発生するかわかりません。
起きてからでは手遅れなのです。
事故に備えて万全を期すために今出来ること「保険」について考えてみてはいかがでしょうか?
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