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医師の書く後遺障害診断書の内容によって、受け取れる損害賠償金が大きく変わる可能性があることを知っていますか?
この記事ではそのカラクリを紹介していきます。
自賠責の後遺障害の認定をするには「事前認定による申請手続き」と「被害者請求」の二つの方法がありますが、
「事前認定による申請手続き」による場合は、損保側が損害保険料率算出機構の調査事務所に意見書を提出することになります。
損保側の顧問医の存在
そしてここで、損保会社側の顧問医の存在が問題になってくる訳です。
ある程度の規模の会社だったら顧問弁護士くらいはいますが、「顧問医」となると結構珍しいですよね。
医者だとお給料も高いですし、一見すると損保会社に医師を雇うメリットは無いようにも思われます。(現実には雇うのではなく外注ですが。)
実は、この顧問医は事前認定の申請時に、被害者の症状に関する意見書を出すために雇われています。
これだけを聞くと、相手側の症状について意見書を出してくれるのだからいいことじゃないか!
と思うかもしれません。
しかし、勘違いしてはいけません。
損保のお抱え医師が作った意見書は損保側に有利な内容となっている事がほとんどだからです。
これは損害賠償金を争う裁判になった場合でも同様で、損保側に偏った意見書を提出してくるのが通常です。
ちょっと考えれば当然のことだと分かりますよね。
利害関係の無い第三者であれば公平な立場で意見を言いますが、保険会社の顧問医は報酬をもらって雇われている立場です。
専門家として嘘の無い範囲で保険会社の有利になるような仕事をするのは通常の話です。
どの等級に後遺障害が認定されるかによって、保険会社が支払う保険金は変わっくるので、顧問医は障害等級が低くなるように意見書を作成する訳です。
顧問医に対抗するには?
医師の診断書が等級認定の要なのに損保側に有利な物を提出されて、それを黙って見過ごしていてはこちらが不利になるだけです。
では、顧問医の意見書に対抗するにはどうすればいいのか?というと【被害者側の立場に立って裁判で使える意見書を書いてくれる医師を見つける事が出来るか否か】がポイントになります。
いい医師を探すには、実際に診察を受けてみて判断するしか有りません。
もともと知人等に患者側の医師として紹介されているのであれば問題ないでしょう。
しかし、そうでない場合は、治療を受けていく段階で話をしてみて、いい医師に恵まれなければ治療を受ける病院を変更していく事も視野に入れる必要があります。
また、仮に患者の味方となってくれる医師がいたとしても、意見書や後遺障害診断書の書くべき内容を間違えてしまう医師もいるので注意が必要です。
医師の仕事はあくまでも患者の病気を治すことなので、交通事故裁判で戦っていく為の意見書や診断書の書き方やルールのようなものを知らない、ということも良くあるからです。
例えば、「何か質問はありますか?」と学校の授業中に先生に聞かれた時に誰も質問をしなかったら、先生は全員理解をしたから質問はないのだ、と判断しますよね(実際は聞くのが恥ずかしいとか、整理ができていないので質問ができていない、ということもあるでしょうけどね)。
診断書も同じで、そこに症状や傷害など記載されなかったものは何もないものと判断されることになります。
被害者目線からすると、残っている症状は全て書いてもらわないと困る事になる訳ですね。
つまり、被害者目線で意見書に書くべき症状を網羅的に記載してくれる医師が「いい医師」ということになりますね。
結論としては被害者の味方になってくれて、かつ、しっかりと症状を網羅した診断書を書いてくれる「いい医師」を探し、治療をうけていくことが最終的に正当な等級認定を受け、裁判で勝つことにつながるということです。
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