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交通事故の裁判では、相当な範囲で子供の学習費や弁護士費用は認められるのですが、それ以外の費用についてはどうでしょうか??判例を元に見てみましょう。
自宅での家政婦費用は認められる?
主婦が交通事故でケガをした結果、家事ができなくなってしまったので家政婦を雇うことになった場合、この費用は損害として認められるでしょうか。
この点については、主婦業ができないという状態は本人の休業損害にかわるものとして評価され、損害として認められるのが通例です。
ミシン工兼主婦が事故により家事労働ができなくなったので、その間の家事手伝としての家政婦費用を認めた例
ペットの保管料は認められる?
被害者の方が事故によりケガをし、ペットの面倒をみることが出来なくなった場合には知り合いやペットホテルなどに預けることがあります。
ペットを預ける為に必要となった費用については損害として認められるのでしょうか。
この点、最近では犬等のペットも家族の一員だと考える傾向にあり、預ける為に必要となった費用については判例でも損害と認めるものがあります。
夫が粉砕骨折などのケガを負い、家族がペットの面倒が見れずホテルに預けることになったため、その間の預り費用を損害として認めた例
引っ越し関係費用は認められる?
被害者が死亡したり重度の後遺障害が残ったため、別居の家族と同居するために元々住んでいた家から引っ越すことが必要になった場合、引っ越しにかかった費用は損害として認められるでしょうか。
引っ越しが必要となった場合、単純な引っ越し料金の他にも家財整理の為の費用なども必要となってきます。
この点について判例では引っ越しにかかった費用を広く損害として認める傾向にあります。
①一人暮らしの大学生が死亡し、引っ越し費用及び引っ越しのために家族が宿泊した宿泊費を損害として認めた例
②死亡により、賃借アパートの家賃割引サービスの早期解約違約金及び引っ越し費用を損害として認めた例
旅行等のキャンセル費用は認められるか?
交通事故により元々予定していた旅行に参加できなくなってしまった場合、旅行会社によってはキャンセル料を取られることがあります。
このキャンセル料についても、交通事故に遭遇しなければ、そもそもキャンセルする必要はなかったものと考えられます。
そこで、判例では被害者だけでなくその家族が旅行をキャンセルすることになった場合のキャンセル料まで損害として認められています。
①母親が交通事故で死亡し、その相続人である子が海外出張をキャンセルしたことで発生した航空券のキャンセル料分を損害として認めた例
②交通事故に遭遇し、孫との旅行キャンセル料を損害として認めた例
調査や立証費用は損害として認められるか?
交通事故裁判で加害者側の過失があったかどうかが争われている場合には、被害者側では調査をしたり証拠を収集するために費用が発生することがあります。
この場合の費用について損害として認められるでしょうか。
弁護士費用については損害として認められるのですが、そもそも調査や証拠収集なども弁護士費用に含まれていることがあります。
そこで、これらの調査費用については弁護士費用や訴訟費用に含まれていない部分について、損害として認められる場合があります。
①交通事故工学の専門家に依頼した鑑定費用や測量費などの一部を損害として認めた例
②目撃者情報の提供を求める為に作成した看板が功を奏して、目撃情報を得られた場合に、その看板代を損害として認めた例
成年後見申立費用等は認められるか?
交通事故で重度の後遺障害が残った場合には、被害者は場合によっては自ら判断などができなくなるいわゆる意思能力を欠く状態になることがあります。
そうなると、様々な手続きなどで成年後見人を家庭裁判所で選任してもらう必要がでてきます。
そこで、この成年後見人の選任手続きに必要となる費用は交通事故での積極損害として認められています。
事故で後遺障害が残り、手続きに必要となった費用(申立手数料・切手代・登記印紙代・鑑定料)を損害として認めた例
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