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現在の日本で、スマートフォン、ドライブレコーダーやSNSの普及もあってか、煽り運転による被害も表面化してきました。
度が過ぎた煽り運転などにあった場合、相手に対し、法的行動を取るためには証拠が不可欠です。
また煽り運転の被害にあった場合、保険が適用される否かも解説してきますので、是非参考にしてみてください。
煽り運転に自動車保険は適用される?
煽り運転によりどのような被害が発生したかにより、保険会社の対応は異なる為、次の通り場合分けしてご説明させて頂きます。
自車に損害が発生していないケース(煽り運転されたという事実のみ)
そもそも自動車保険が適用されるというのは、保険会社が示談対応出来る事故であり、契約者:相手側の双方に事故についての責任割合(過失割合)が生じる事故です。
例えば、車対車の右折と直進者の交通事故のケースであれば、直進車、右折車ともに責任割合が発生し、保険会社による示談対応が可能となります。
それとは逆に、信号待ちの車に追突したケースであれば、追突車の過失が10割となり、信号待ちの車の過失割合は発生しません。この場合、追突車側の保険会社は示談対応できますが、信号待ち車側に過失割合は生じない為、過失割合が0の場合、保険会社は示談対応出来ません。
自車側の運転者と同乗者に怪我がなく、車に被害が一切ないケースにおいては、相手側に損害賠償請求できるものが何もない為、保険会社としては何も対応する事が出来ませんので、留意しましょう!
自車に損害が発生したケース
自車に怪我も含めて損害が発生しているケースにおいては、発生した事故の責任割合分を相手側に損害賠償請求する事が可能となる為、保険会社による示談交渉が可能となります。しかしながら、実務において非常に厄介であると想定されるのは、煽り運転の多くが非接触であることです。
煽り運転の多くは、自車の後方を執拗に追い掛け回されたり、極端に狭い車間距離で走行するケースが多く非接触である事が多いと考えられます。保険代理店での事故対応の経験上において、非接触により発生した交通事故というのは、因果関係が不明確な為、示談するのが非常に大変です。
交通事故というのは、交通事故ごとに分類された判例が存在し基準となる責任割合が定められていますが、珍しいケースの事故については判例が少なく、現状、煽り運転に関する判例は少ないのが現状です。
仮に、執拗な煽り運転により交通事故が発生したとして、煽った側の運転行為がどの程度事故に関係しているかを証明する必要があります。民法において、「過失立証主義」という考えがあり、訴える側が相手側の過失を立証する必要があるとされています。何でもかんでもクレームが通らなくする為に必要な考えではありますが、煽り運転の事故の場合は立証のハードルが高い事が想定されます。
煽り運転!ドライブレコーダーの活用方法は?
私の経験上、詳細は明かせませんが、非接触により発生した交通事故で裁判にまで発展した交通事故があリました。
筆者の顧客が高速道路の分岐路を走行中、始めて走った道路であった為に低速で走行していた所、無理な追い越しを試みたタンクローリー車が横転しガードレールから落下する、という事故でした。筆者の顧客はタンクローリー車と接触していない為、ケガはなく、車にも被害はありませんでしたが、相手のローリー車は全損でした。
相手側は車両保険に加入しておらず損害が過大な為に、当方側に過失があるとして弁護士による訴訟を展開、逆に、当方側は非接触である為、過失割合はないと主張し、現在も示談に至っていません。
この事故において、双方の車両にドライブレコーダーは取り付けされていない為、事故状況に不明確な点は非常に多いのが難点です。
先ほどの記載のように、煽り運転により自車に被害が発生した場合、煽った側の過失を立証する必要がある為、ドライブレコーダーの映像記録は間違いなく有効な証拠となります。逆にドラレコの映像記録がない場合、目撃者を探しだすか、ドラレコの映像を提供してくれる人を見つける必要があるが、このハードルは非常に高い上に現実的とは言えません。
私の経験上、示談交渉が難航した事故において、事故現場付近の目撃者を見つけ出す為に、聞き込みを行う事がありますが、目撃者に遭遇できたのは、1度きりで本当に奇跡に近い状態です。
まさか!煽り運転で被害にあった場合にすぐに行うべき対処方法はこれ!
煽り運転で被害が発生した場合は、
- 警察への被害届け
- 保険会社への事故の届け出、
- ドライブレコーダーの映像記録の複製、
- 保険会社へのドライブレコーダーの映像記録の提出
の順に対応していくのが望ましいでしょう。
但し、煽った側が興奮状態に陥り攻撃してくるケースがありますが、なるべく車外には出ずに、先ずは警察へ連絡し、生命の安全を最優先し冷静に対応する事が求められます。
また、車の被害だけでなく運転者や同乗者が交通事故により怪我を負った場合は、病院の診断書があれば人身事故として被害届を出す事も可能となります。
交通事故の人身事故というのは、平たく言うと傷害事件の一種である為、交通事故での物損事故とは重みが全く異なります。
人身事故となれば、警察は物損事故とは比べ物にならない程、綿密に調査を行い、警察としての事故の見解を出します。その際に、ドライブレコーダーの映像があれば、当然に警察も確認する事になり、その煽り運転の悪質性が高ければ、罰金も過大な金額となり社会的な制裁が大きくなります。
煽り運転や追突事故におすすめなドライブレコーダーは?
煽り運転を想定したドライブレコーダーであれば、少なくとも前方後方ともに撮影機能があるものがおすすめです。
予算に余裕があれば、360度の撮影機能がある機種が望ましいでしょう。
筆者が独断と偏見で選ぶドライブレコーダーを3つ紹介させて頂きます。ご参考までにご査収ください!
コムテック HDR360GW
メインカメラは360度撮影、それとは別にリヤカメラが容易されており、視覚がほぼない為、煽り運転に備えたドライブレコーダーとしておすすめです。
- 参考HP:コムテック HDR360GWの商品レビュー(みんからHP)
- 参考HP:コムテック公式ホームページ
PIONEER VREC-DH300D
フルHD撮影、前370万画素、後200万画素の標準的な2カメラのドライブレコーダーでありますが、筆者が注目しているのは、「SDカードフォーマット警告機能」、「SDカード寿命警告機能」がある点です。車の室内というのは夏場高温になり、精密機械のSDカードには負荷が大きいです。SDカードも消耗品ですが、電池とは異なり交換時期が分からない為、こうした機能は非常に有効でしょう!
Kenwood DRV-MR745
最後に紹介するのはKenwood製のドライブレコーダーです。特筆する性能はないが信頼感があり、Amazonでのレビューの評価も高い為、記載させて頂きました。ドライブレコーダーは万一の事故状況を記録するものなので、信頼できるメーカーを選びましょう!
煽り運転を把握!煽り運転の裁判事例!立件する為の要件は?
あおり運転で世の中の記憶に新しいのは、次の2つの事故です。
東名あおり運転事故
「東名高速夫婦死亡事故とは、2017年6月5日に神奈川県足柄上郡大井町の東名高速道路下り線で発生した交通事故です。追い越し車線に乗用車が2台続いて停車していたところ、後部から男性Aの運転するトラックが追突して男女2人が死亡し、後述の加害者Xを含め4人が重軽傷を負いました。」
あおり運転殴打
「茨城県守谷市の常磐自動車道で起きたあおり運転殴打など3つ事件で、強要と傷害の罪に問われた会社役員宮崎文夫被告(44)の判決公判が2日、水戸地裁で開かれ、結城剛行裁判長は懲役2年6カ月、保護観察付き執行猶予4年(求刑は懲役3年8カ月)を言い渡した事件です。この事件を巡っては、被害者のドライブレコーダーに写った映像が繰り返し流され社会問題化。6月にはあおり運転を「妨害運転」と規定して厳罰化した改正道路交通法が施行されたが、それでもあおり運転での摘発は相次いでます。」
- 「東名あおり運転事故」やり直し裁判、被告が好青年演出でも懲役18年濃厚の理由 (引用:https://diamond.jp/articles/-/304038)
- あおり運転殴打の宮崎被告に有罪判決 、厳罰化後も事件が後絶たぬ不思議(引用:https://diamond.jp/articles/-/250045)
両事件ともに世間を騒がせた事件であり、最近でも裁判結果に関する報道がなされていたので覚えている方も多いかもしれません。この2つの事件事故は当時世間をかなり騒がせた事は間違いがなく、社会的なインパクトも非常に大きかったでしょう。
煽り運転の罰則強化
煽り運転が社会的な問題になった事を受けて、令和2年6月末に改正道路交通法が施工され「妨害運転に対する罰則」が創設されました。
一般財団法人日本交通安全協会に道路交通法の改正ポイントがまとめられており、煽り運転に関する内容は次の通りです。
① 妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則の創設
妨害運転(「あおり運転」)をした場合
他の車両等の通行を妨害する目的で、一定の違反行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした場合
- 罰則:3年以下の懲役、または、50万円以下の罰金
- 違反点数:25点
- 行政処分:免許の取消し(欠格期間2年)
妨害運転(「あおり運転」)により著しい交通の危険を生じさせた場合
上記の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合
- 罰則:5年以下の懲役、または、100万円以下の罰金
- 違反点数:35点
- 行政処分:免許の取消し(欠格期間3年) ※一定の違反行為、妨害運転の対象となる違反
[①通行区分違反、②急ブレーキ禁止違反、③車間距離の不保持、④進路変更禁止違反、⑤追越禁止違反、⑥車両等の灯火違反(滅光等)、⑦警音器の使用等違反、⑧安全運転義務違反、⑨最低速度違反(高速自動車国道)、⑩高速自動車国道等における駐停車違反]
②免許の仮停止処分の対象に追加
妨害運転(「あおり運転」)により交通事故を起こし人を死傷させた場合は免許の仮停止の対象となり、交通事故を起こした場所を管轄する警察署長等は、30日以内の範囲で免許の仮停止をすることができることとなりました。
自転車の「あおり運転」を危険行為として規定(道路交通法施行令)
他の車両を妨害する目的で執拗にベルを鳴らす、不必要な急ブレーキをかけるなど、自転車の「あおり運転」を危険な違反行為と規定し、3年間に2回違反した14歳以上の者は「自転車運転者講習」の受講が義務づけられます。
引用:「一般財団法人 日本交通安全協会 道路交通法の改正ポイント」
厳罰化により注意しなければならないのは、妨害運転するつもりがなかったとしても、結果として妨害運転の行為とみなされ、訴えられてしまう可能性もありえます。
まとめ
最後に、これは筆者の個人的な見解ではありますが、あおり運転は時には生命も危うくするほど悪質性が高いですが、もしかしたら煽られる側の運転にも何らかの原因があった可能性も高いかもしれません。ちょっとした事で大ごとになる可能性もありますので、常に安全運転を心がけましょう!
頻繁に車線変更や追い越しを繰り返したり、急ブレーキ、車間距離を詰める行為、急な割込み、こうした運転行為というのは相手にプレッシャーを与える運転であり、集団の流れを乱す運転であり、こうした運転は周囲だけでなく、自分にも大きなプレッシャーになるので、事故に繋がる可能性が高いでしょう。
また本人が気付いていないだけで、自分が結果的にそうした運転をしてしまった可能性もあるという事もあるかもしれません。
ただ度を越した煽り運転もあるのも事実ですので、冷静かつ適切に対応するようにしましょう!事前に煽り運転があった場合のことを、一度想定しておくのも、適切に対処できる手段かもしれません。
またドライブレコーダーを装着することで、一連の流れが第三者に理解されやすいですので、ドライブレコーダーを装着するようにしましょう。
みなさんが気持ちよく、運転できる車社会ができる事を願っています。
記事作成者・監修者
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
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