この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。
現在、家にいながら外食気分が味わえるウーバーイーツの人気が高まっています。
需要の増加にともない配達員も増加し、自転車で配達中の姿を見かけることも増えたのではないのでしょうか。
ウーバーイーツ配達員の配達手段として多いのは自転車。
配達手段に便利な自転車ですが、配達時間を気にしながら、地図を見ながらの運転には危険がつきものです。
自転車での配達による事故が報告されるようになり、ウーバーイーツ配達員の死亡事故も発生しています。ウーバーイーツ配達員の自転車での配達による事故をニュースで見ることも少なくありません。
もしものときのために、ウーバーイーツ配達員の賠償や怪我の補償についてご紹介します。
メリットばかりではない!ウーバーイーツ配達員の雇用条件や環境
ウーバーイーツ配達員として働くには、ウーバーイーツに必要書類を提出し、登録することで働くことができます。
インターネットから簡単に登録できます。
登録したあとはウーバーイーツのアプリをオンラインにして、リクエストを待ち、指定の場所へ配達。登録ひとつで自分のペースで働ける、報酬は週単位でもらえるなどメリットが多く感じますが、デメリットも……。
ウーバーイーツ配達員は、「業務委託」というかたちで会社との雇用関係はなく、個人事業主となります。
雇用関係があれば労働法が適用されますが、ウーバーイーツ配達員は会社と雇用関係がないため、労働法が適用されません。
労働法とは、雇われる立場にある労働者の給料や働く時間等、労働者にとって不利のないように労働者を守るために定められているものです。労働法が適用されないということは、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険の制度も適用されません。
待遇の改善を求めるため、一部のウーバーイーツ配達員により「ウーバーイーツユニオン」という労働組合が2019年に結成されました。
ウーバーイーツユニオン公式HPでは以下のように記載されています。
『現在、ウーバーイーツ配達員には労働法が適用されず、事故にあっても労災がないなど、その働き方の保護については何も整備されていません。』
ウーバーイーツユニオン公式HPからも分かるように、ウーバーイーツ配達員には『補償面』でのデメリットがあります。
ウーバーイーツの補償について次の項目でご紹介します。
要注意!ウーバーイーツの補償制度
ウーバーイーツ配達員は個人事業主となり、労働法が適用されないため事故にあったりケガをしたりしても労災保険が適用されません。
その代わりウーバーイーツには「配達パートナー向けサポートプログラム」という補償があります。
このプログラムについてウーバーイーツ公式HPで以下のように記載があります。
『日本のUberEats配達パートナーに対し、配達中の対人・対物賠償責任保険および、配達パートナーへの傷害補償制度を提供いたします。』
注目すべきは、「配達中の」という点。つまり補償されるのは配達中に限るということになります。
ウーバーイーツ配達員の移動手段は大半が自転車のため、自転車での移動手段で考えてみると
- 自宅から待機場所までの道のり
- 待機場所から注文があった店までの道のり
- 配達後の道のり
以上の道のりは補償がされません。
場合によっては、配達中の距離よりも配達外で自転車に乗っている距離のほうが長いこともあり得ます。
配達中よりも配達外で事故にあうこと、事故をおこすことの確率のほうが高いことも考えられます。
ウーバーイーツの補償制度一覧
以下は警視庁が自転車事故について2019年に発表したものです。
《交通事故全体に占める自転車関与事故の割合を示す「自転車関与率」は、39.0パーセントとなります。》
交通事故全体の中で自転車が39.0パーセントも関わっているということです。
さらに交通事故負傷者数の中で自転車乗用中の負傷者数の割合は32.2パーセントで自転車乗用中の死者数の割合は25.6パーセントということが発表されました。
この数字からみても、配達中のみの補償ではウーバーイーツ配達員の安全・安心は守られていないと考えてよいのではないでしょうか。
足りない補償を補うために個人で備えておくことが肝心です。
【合わせて読む!!】「自動車保険を賢く選ぶ!」
ウーバーイーツ配達員も補償される?個人賠償責任保険とは
被害者になることもあれば、加害者になることもあります。
加害者となってしまった場合、状況によっては裁判所から高額の賠償金を命じられます。
高額の賠償金を命じられた一例として、平成25年7月4日神戸地方裁判所は自転車による事故で加害者に9,521万円の支払いを命じました。
自転車事故による高額賠償事例は多発しており、全国の自治体が自転車事故に対応した保険への加入の義務化を進めています。
自転車事故に対応する保険として個人賠償責任保険があります。
個人賠賠償責任保険とはどういった保険なのか。
『他人のモノを壊したり、他人にケガをさせてしまったときなどにおいて、法律上の損害賠償責任を負担する場合に保険金が支払われます。』
生活の中で賠償責任が生じたときに補償してくれる保険。加害者の代わりに被害者に賠償金を支払ってくれる保険です。
個人賠償責任は、家族の一人が契約することでその家族も補償してくれます。自動車保険の他にも火災保険や傷害保険の特約としても加入することができます。
自転車事故に対応した保険として、自転車保険もおすすめ。自転車保険も個人賠償責任保険と同じように、ほかの保険とセットで加入することができますが、単体でも加入することができます。
個人賠償責任保険は、家族の一人が加入することで自動的にその家族も補償されますが、自転車保険は個人型・家族型など補償対象を選ぶことが可能です。
ただ専門家・FPのコメントにあるように、『個人賠償責任保険』はあくまでも日常生活の法律上の賠償責任を補償するもの。ウーバーイーツ配達中は業務とみなされ個人賠償責任保険では補償されない点に注意が必要です。
【まとめ】ウーバーイーツ配達員のあなたが安心して働けるように
自転車の事故だからと甘くみていては危険です。
自転車対車、自転車対人、自転車同士でも命に関わる重大な事故に。そしてあなたが加害者になってしまったとき、高額の賠償金を命じられることもあるかもしれません。
一生をかけて償っていかなければならない事態も考えられます。
ウーバーイーツ配達員の補償が配達中のみということは、配達外の時間は補償がないという事実。
今加入している保険の補償内容を確認してみることから始めてみるのはどうでしょうか。
補償内容がたりていないと感じたら必要な保険への加入をおすすめします。
事故を起こしてしまったら、あなただけではなく周りの人の人生も巻き込むことになります。事故にあわない、事故をおこさないことが一番ですが、備えを万全にしておくことがあなたを守ることにつながります。
あなただけでなく、あなたの家族や、大切な人、周りの人を守ることにもつながります。
備えを万全に、安全運転でお気をつけください。
ファイナンシャル・プランナー(FP)からのコメント
専門家・FPからのコメント
金子賢司(Kenji Kaneko) ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める <保有資格>CFP、住宅ローンアドバイザー、生命保険協会認定FP、損保プランナー 個人賠償責任保険はあくまでも日常生活の法律上の賠償責任を補償するものです。ウーバーイーツ配達中は業務とみなされ個人賠償責任保険では補償されない点に注意が必要です。 |
専門家からのコメント 鈴木翔太(Shota Suzuki) <経歴> 個人賠償責任特約は物損でも対応可能です。記事を読むと個人賠償責任特約は「人にケガをさせた時」のみ補償になるような印象を受けました。例えば走行中に自動車のサイドミラーに衝突し、破損させてしまった場合も同特約の対象となります。自動車保険の個人賠償責任特約で請求しても等級が下がらないことは、意外と知られていないので知っておくと良いと思います。 |
ご参考:監修者一覧
【合わせて読む!!】「自動車保険を賢く選ぶ!」
出典:一般社団法人日本損害保険協会HP、一般財団法人全日本安全協会、警視庁ホームページ、厚生労働省ホームページ、日経新聞、ウーバーイーツユニオン公式HP
関連記事をチェックする