車両新価特約「新車特約」とは?必要性・補償範囲・保険料まで全て解説

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車両新価特約は「車両新価保険特約・新車特約・新車買替特約」などなど、保険会社によって様々な呼び名が有りますが、全て内容は同一です。なので、当記事では「車両新価特約」に統一して表記しています。

「つい最近、新車に買い換えたところなのに、事故を起こしてしまった・・・。」

こんな事はあまり想像したくありませんが、新車だからこそ余計に不安を感じてしまうものです。そんな不安を和らげてくれるのが、自動車保険の「車両新価特約」です。

この車両新価特約は、新車の再購入費用を補償してくれます。つまり、事故を起こしたとしても、また新しい車に乗り換える事ができるわけです。新車のオーナーにとっては、心強い特約と言えますね。

そこで今回は、自動車保険の車両新価特約について、補償内容や付帯できる期間、付帯する場合の保険料、付帯の必要性などについて紹介したいと思います。

なお、「車両保険が有るから車両新価特約は不要なんじゃないの?」とか「車両保険と車両新価特約の違いって何?」と思っている人は、下記記事も同時に読むと理解が深まるかと思います。

車両新価特約と車両保険の違い

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車両新価特約とは

新車を購入

車両新価特約とは、事故で車が壊れたときに「契約車両と同等クラスの新車を購入するためのお金」を出してくれる特約の事を言います。車両保険の追加オプションですね。

具体的には、事故で契約車両が以下のような状態になった時に、車両の「新車保険価額」に基づいて、新車の再購入費用を負担してくれる特約です。

■車両新価特約の支払対象となる状況

  • ①車の修理が不可能
  • ②車が全損してしまった
  • ③車が全損でなくても修理費用が「新車保険価額」の50%以上かかる場合(但し、車の内外装・外板部品以外の部分に著しい損傷をきたしている場合に限る(*1))

*1 要は、走行に影響が無い部分の修理費用だけで50%を超えても支払いませんよ、という事です。

 

車両新価特約で支払われる「新車の再購入費用」の範囲

まず、全ての保険会社共通の車両新価特約の補償範囲は以下の3つです。

  • ①車両の本体価格
  • ②付属品(オプション)
  • ③消費税
カーナビなどのオプションも補償範囲に含まれるようですが、オプションを付ける際には、保険会社に確認した方が無難です。

上記以外にも新車購入時には諸費用がかかりますよね。たとえば、登録費用や税金(自動車税・重量税・取得税)などです。これらの諸費用の補償については、保険会社によって取扱が異なります(下表で一部抜粋して紹介)。

2018年7月16日時点

諸費用が補償される保険会社諸費用が補償されない保険会社
ソニー損保セゾン自動車火災
あいおいニッセイ同和損保三井住友海上
損保ジャパン
東京海上日動

上記表のように諸費用を補償してくれない保険会社も有りますが、ほとんどの保険会社で「車両新価特約」に「再登録時諸費用保険金」が自動付帯され、補償対象となっています。

具体的には、上限30万・下限10万円を基本線として、保険金額の10%が「再登録時諸費用保険金」として支払われます。従って、自己負担金額は、その他費用の部分に関しても、実質的にはほとんど有りません。

注:再登録時諸費用保険金を貰うと「車両全損時諸費用特約」から保険金は降りないのが一般的です。

そのため、「車両新価特約」と「車両全損時諸費用特約」の両方が有る保険会社では、補償が重複してしまうので注意が必要です。

逆に、三井住友海上では新車購入費用+諸費用の補償を受けたいなら、両方の特約の付帯が必要です(セゾン自動車火災には全損時諸費用特約が有りません)。

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車両新価特約の支払対象となる事故~盗難も対象?

車両新価特約は車両保険の追加オプションなので、支払対象となる事故は、契約している「車両保険のプラン」と同一です。

一般形の車両保険を契約しているなら、ほとんどの車両事故が補償されますが、エコノミータイプの車両保険なら一部の車両事故しか補償されないという事ですね。

そのため、「車両新価特約を付帯するかどうか」だけでなく「車両保険の補償範囲」についても検討するようにして下さい。

車両盗難に遭ったドライバー

但し、注意が必要なのは「盗難」です。通常、一般形の車両保険なら「盗難」も補償対象になりますが、車両新価特約に関しては補償範囲外です。気をつけましょう。

等級はダウンするか?

車両新価特約を利用すると、等級は3等級ダウンします。事故有係数も翌年から3年間適用されるので、保険料の値上がりについては我慢しなくてはなりません。

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付帯できる期間はいつまで?中古車でも付帯可能?

「車両新価特約」は全ての車両に付けられる保険では有りません。比較的年式の新しい車にしか付帯できないオプションです。車を購入してから、いつまでなら付帯できるのかは、保険会社によって異なります。

そこで、2017年5月時点の保険会社毎の付帯可能期間をまとめてみました。表中の番号は以下の「付帯可能期間」を示しています。

  • ① 満期日の属する月が契約車両の初度登録年月の翌月から計算して61ヶ月以内(東京海上・日新火災は初度登録年月から61ヶ月以内)
  • ② 満期日の属する月が契約車両の初度登録年月の翌月から計算して37ヶ月以内
  • ③ 契約期間の初月が契約車両の初度登録年月の翌月から起算して25ヶ月以内(セゾン自動車・ソニー損保は初度登録年月から25ヶ月以内)
  • ④ 契約期間の初月が契約車両の初度登録年月の翌月から起算して11ヶ月以内
  • ⑤ 共済契約の満了日が最初の車検期限の月末までに含まれている事
保険会社付帯可能期間
あいおいニッセイ同和損保
共栄火災
損保ジャパン日本興亜
東京海上
日新火災
三井住友海上
朝日火災
富士火災②かつ③
セゾン自動車
ソニー損保
イーデザイン損保
マイカー共済

2015年9月までは、車両新価特約の付帯可能期間は最長でも新車を購入してから「3年間」でした。ところが、今は損保ジャパンや東京海上日動などのように「5年間」という長期期間を設ける会社も有ります。

付帯可能期間が長い保険会社の存在は、契約者にとっては喜ばしい事でしょう。

車を手のひらに載せてOKサインを出す女性

なお、長期の付帯可能期間を設けている保険会社の中には、「車両新価特約の新車保険価額が車両保険金額の2倍以下である事」などのように付帯条件を別途設定している場合があります。

新車購入から3年が経過して車両新価特約の付帯を検討している人は、このような条件の有無又は内容について保険会社に確認するようにして下さい。

それにしても、イーデザイン損保は「11ヶ月」となっており、少し残念な内容になっていますね。

現時点で「JA共済・SBI損保・セコム損保・三井ダイレクト損保・チューリッヒ・そんぽ24・アクサダイレクト・AIU保険・ゼネラリ・チャブ(エース)保険」では、今のところ「車両新価特約」は採用していないようです。

■中古車でも付帯可能
車両新価特約の付帯条件は、「契約車両の初度登録年月から○○ヶ月以内」となっています。従って、中古車を購入したとしても、その車の初度登録年月からの経過月数が、この期間内に入っていれば付帯可能です。

例えば、1年落ちの中古車など高年式の中古車だったらOKという事ですね。

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車両新価特約の保険料はいくら

車と電卓とお札に囲まれている人形

以下の条件で、1年目~3年目に車両新価特約を付けた場合と付けない場合で、保険料にどの程度の差が発生するのか、調べてみました。見積に利用した会社は「東京海上日動」です。

前提条件 ●車種:プリウス ●型式:ZVW40W ●等級:15等級(無事故等級) ●運転者限定:家族限定 ●年齢条件:35歳以上補償 ●免許の色:ゴールド ●生年月日:1980年5月5日 車両保険の種類:一般形

■1年目の保険料

特約の有無保険料
車両新価特約「有り」99,640円
車両新価特約「無し」96,190円
差額3,450円

1年目なので、設定金額は車両保険も車両新価特約も320万円で同じでしたが、保険料には差が有ります。

全損ではなくても新車購入費用として保険金が支払われるわけですから、保険料に違いが生まれます。

■2年目の保険料

特約の有無保険料
車両新価特約「有り」97,870円
車両新価特約「無し」91,970円
差額5,900円

2年目の設定金額は「車両保険:245万円」「車両新価特約:320万円」です。

■3年目の保険料

特約の有無保険料
車両新価特約「有り」98,720円
車両新価特約「無し」92.090円
差額6,630円

3年目の設定金額は「車両保険:225万円」「車両新価特約:320万円」です。

車両保険金額が300万円前後の車両だと、年間4,000円~6,000円ほどの保険料になるようですね。

ちなみに、東京海上日動では新車購入から5年間は車両新価特約を付帯できるので、4年目以降の保険料も見積もってみました。結果は以下の通りです。

  • 4年目の保険料・・・7,790円(車両保険:200万円、車両新価特約:320万円)
  • 5年目の保険料・・・8,300円(車両保険:180万円、車両新価特約:320万円)

この見積結果からも分かるように、契約車両が古くなればなるほど「車両保険」と「車両新価特約」の保険金額の差が大きくなるので、車両新価特約の保険料は高くなっていきます。

この点は車両新価特約の必要性を考慮する際に、1つのポイントとなってくるのではないでしょうか。

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車両新価特約の必要性について

保険料を見て貰えれば分かるように、大衆車であれば概ね1万円以内で付帯可能です。

従って、車両新価特約を付帯できるなら付帯した方が良いと思います。この程度の保険料負担で同レベルの新車を再購入できるお金を支給してくれるなら、かなりコストパフォーマンスが良いですからね。

新車の横で喜んでいる男性

また、車両新価特約では「新価保険価額の50%以上の修理費がかかる場合(但し、車の内外装・外板部品以外の部分に著しい損傷をきたしている場合に限る)」も補償対象となっています。

半損でも新車に乗り換えられるのは嬉しいですよね。それよりもポイントとなるのは以下の文言です。

但し、車の内外装・外板部品以外の部分に著しい損傷をきたしている場合に限る

先程も書きましたが、これって、「修理したとしても、真っ直ぐ走行出来なくなる可能性が有る部位を損傷した場合」に補償されるって事です。

このような状態になった車は、たとえ修理して外見上元通りになったとしても、通常の車と比べると、リセールバリューがかなり低くなってしまいます。なぜなら、中古車買取市場では「事故車(修復歴車)」として扱われるからです(参考:事故車と修復歴車の違い)。

従って、リセールバリューの事も考えれば、新しい車を購入できる「車両新価特約」は、必要性の高い特約と言えるでしょう(車両保険だけだと、今の車と同レベルの車は購入できない可能性が高いですからね)。

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専門家(FP・損保プランナー)からのコメント

菊地 季美子(Kimiko Kikuchi)

生命保険会社2社に合計8年の在籍後、損害保険へ転向。3年の営業店事務経験ののち損害保険代理店に転職、自動車保険・火災保険の設計を担当し、相談件数は在籍3年で800件を超える。現在はフリーランスでFP資格試験の講師、セミナー、執筆活動を行っている。

<保有資格> FP技能士3級・2級日本FP協会認定AFPトータルライフコンサルタント損害保険プランナー

監修者一覧はこちらから

<コメント>

車両新価特約が有用なケースは以下の2つが考えられます。

1つ目は、新車を購入してすぐに事故に遭い、50%以上の損害が発生して再度新車を購入するケース。

車両の損害が全損の場合は車両保険金額が満額支払われますが、このケースは全損ではないため車両保険は損害額までしか出ず、再度新車を購入するための費用には自己負担額が発生します。

ここに車両新価特約が付帯してあれば、全損でないケースでも新しい車を購入する費用を保険金で賄うことができます。

2つ目は、購入から数年経ってから全損事故に遭い、車を買い換えるケース。

車両保険金額は毎年約2割ずつ減価償却されていきますので、購入から3年も経てば保険金額は当初の半分程度になってしまいます。この時点で全損事故に遭った場合、支払われる保険金だけでは新車購入費用にはとても届きません。

車両新価特約はこの場合でも、最初に設定した保険金額を限度に保険金が支払われるため、新車の購入に補填できます。なお、新しい車の再取得は事故日の翌日から起算して1年以内という決まりがありますのでご注意ください。

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