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交通事故によって傷害を負った場合の弁護士基準による慰謝料の計算方法は「【弁護士基準】傷害(事故)の慰謝料の計算方法」の記事で紹介しました。基本的な計算方法は、基準表を使用して傷害の軽重と入通院期間の長短を考慮して決定するのですが、必ずしもこれらの要素のみで入通院慰謝料を算出するわけではありません。
つまり上記の2つの要素以外にも慰謝料額を加算すべき事由があれば考慮して相当額を慰謝料額に加算する事になります。今回は加算すべき事由が考慮された判例を紹介していきたいと思います。
交通事故により留年
■大学三年生が入通院により留年をした事に対して、入通院慰謝料等の他に慰謝料50万円を認めた例
交通事故が原因で大学を留年した事に対しても慰謝料が認められた判例ですが、大学を留年した事に対しての慰謝料が50万円というのはどうなんでしょうね?現在授業料は私立大学なら文系でも約70万円、国公立なら約50万円でくらいです。
しかし、1年間働く事が遅れるため生涯年収にも影響が出てくるので、もう少し加算しても良かったような気もします。
ゴルフのプロ志望者
■プロゴルフ志望の男性が事故により予選会に出場する機会を脱した事に対しての慰謝料25万円を認めた例
プロゴルファーになる為の予選会に出場できなかった事への慰謝料で、プロになることができたか、それ以後の獲得賞金(男子プロの平均年収は約1,300万円)などは一切考慮していないと思います。考慮していたらもっとすごい額になったかもしれません。
事故の傷害により離婚
■足・腕の骨折、顔面挫創などの重度の傷害を負った女性が3年以上の入院生活をし、さらに配偶者と離婚してしまい入通院慰謝料600万円を認めた例
この判例には入院が3年以上としか記載されていないためどれだけの通院期間があったかわからないので正確な入通院慰謝料の計算ができませんが、入院のみで考えると、この女性の受けた傷害は非常に重く基準表の上限額を採用すると考えられます。
また、基準表は15ヶ月までしか記載していないため上限に1月あたり5万円計105万円を加算すると518万円となります。3年でこの数字ですので入院慰謝料だけで判例の600万円近くまでいくことになります。離婚に関しての慰謝料はかなり少ないような気もしますね。
選挙に出馬予定
■交通事故によって市議会議員選挙への出馬を断念したことに対して慰謝料50万円を認めた例
この判決を出したのは横浜地裁なので神奈川県のどこかの市議会議員の選挙に出馬する予定だったのでしょう。意思があっただけではおそらく認められずある程度の出馬準備はしていたと予想されます。市議会議員選挙に出馬する為には供託金を収めなければならず、政令指定都市の場合は50万円、それ以外は30万円です。その他にもポスターとか選挙カーや選挙事務所など色んな費用がかかります。
出馬の準備状況にもよりますが、選挙中ではなく出馬予定の段階だったので妥当なラインなのではと思います。
まとめ
傷害の場合の入通院慰謝料という損害賠償項目ですが、傷害とは別に損害を負った場合には相当額が慰謝料として加算されるようです。そのためもし事故に遭ってしまった場合にはどこまで慰謝料として認められるか専門家に相談した方がいいでしょう。
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