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「残クレで車を買ったはいいけど解約したい」そんな悩みを持ったことはないでしょうか。
しかし、残価設定クレジットとは、本来ローンを組んで車を購入することなので、解約という概念は存在しません。
「じゃあローン返済が終わるまで払い続けるしか方法はないの?」と思うかもしれませんが、安心してください。
残クレ車両は簡単に手放すことができます。
ディーラーの残クレで車を買ったんだけど、実際に車に乗り始めてみるとデメリットが多いのよね・・・
解約って出来ないのかしら?
残クレの場合は、車の名義人は自動車メーカーとなっているのでレンタルの感覚に近い物がありますけど、厳密には特定の期間車を使用する権利を購入していることになるんですよ。
つまり解約はできないってこと?
そうなりますね。
とは言え、残クレ車両に「解約」という概念は存在しませんが、それに近い事はできますよ。
残クレ車両の解約の仕方
冒頭でも述べましたが、本来であれば残クレ車両には、スマホ契約や賃貸マンションのように「途中解約」というシステムはありません。
しかし、様々な生活環境の変化によって残クレ車両のローンを継続したくないこともありますよね。
- 家族が増えてファミリーカーに乗り換えたい
- 子供が自立して趣味の車に乗り換えたい
- ローンの支払いが困難になってきた
- 単身赴任で大きい車が必要なくなった
- etc…
生活環境が変われば、乗りたい車も変わってくるものですよね。
基本的にはマイカーローンと同じ
残クレで買った車といってもローンを全て返済すれば良いだけなので、一括返済にて契約を終わらせることが出来るという事になります。
残クレローンを終わらせる方法は大きく分けて以下の3通り。
- 現金一括返済
- 残クレ車両を売ってそのお金で一括返済
- 満期を待たずにディーラーに車を返却する
厳密には解約ではありませんが、上記の「満期を待たずにディーラーに車を返却する」という方法が事実上の解約手段となります。
ここで問題となってくるのが、単純にディーラーに返却するだけでは終わらないということです。
ディーラーの査定による減額
残念ながらディーラーに車を返却することで、残りのローンを全て相殺できるケースはごく稀で、基本的には普通に車を売る時のように査定が入ります。
もちろん早期の返却であれば、あらかじめ設定されていた残価以上の金額で返却を受け付けてくれる可能性は高いです。
しかし、残ったローンと同等の金額となる事はほとんどないと思っておいた方が良いでしょう。
基本的には、残クレ車両の早期返却という形での決着には違約金が発生することはありません。
しかし、ほとんどの場合はマイナス査定にて「ローン残額」と「ディーラーが査定した車の価値」には誤差があり、「ローン残額>査定額」となってしまいます。
この誤差が事実上の違約金となります。
ようするに残クレを終わらせるには、ディーラーに車を返せばいいわけね。
でもディーラーじゃない金融機関で契約してる場合もあるわよね?
その場合でも、残クレの契約をしている金融機関へ車を返却すればOKですよ。
早期返却の流れ
残クレ車両を早期返却の流れは以下のようになります。
早期返却の旨を伝える
👇
ディーラー査定で現状の車の価値を算出する
👇
査定額にて車を返却
👇
ローンの金額から査定額を差し引いた金額を返済して終了
ここで気になるのが、残クレ車両の査定額ですよね。
それによって、最終的に支払わなければならない金額がどのくらいなのかが変わってきますし、追加で払う金額が大きければ早期返却の意味がありませんからね。
車を返しても、すんなりと終わるわけじゃないのね。
そうですね。ただしこれは早期返却に限ったことではなく、満期まで乗ったとしてもその時点での査定は入りますよ。
え!?
残価で引き取ってくれるんじゃないの?
残クレの残価は、100%その金額を保証するというものではないんですよ。
結局余計なお金を払わないといけないのね・・・
早期返却の査定
残クレ車両をディーラーへ返却する際には、基本的に残りのローン額より高い価値が付くことはありません。
当然ですが絶対にディーラーが損をしないような基準となっているからです。
また、車種や車の状態によって査定額は大きく左右されるため、一概にどの程度の金額になるとは言えませんが、ほとんどの場合は車の返却と合わせて数十万円はかかってくると思っておいた方が良いでしょう。
「残りのローン金額」-「車の査定額」=「数十万円(最終的に支払う金額)」
つまり残価クレジットを解約したいと思って、ディーラーに車を早期返却した場合は、数十万円の違約金のようなものが発生するというわけですね。
「ディーラーに車を早期返却した場合」と記述したのには訳があって、残クレを終わらせる手段はこれだけではありません。
最初の項目を思い出してみて下さい。
そう・・・別の買い取り業者に車を売却するという選択肢も残されています。
ディーラー以外に車を売却する
ホンダ・トヨタ・スバル等々、基本的にどのディーラーで残クレ車両の早期返却をしても、ローン残額と同等の金額で車を引き取ってくれる事はありません。
その理由は簡単で、ディーラーの利益にならないからです。
しかし、別の買い取り業者に残クレ車両を売却するとなると話は別で、場合によってはローン残額より高い金額で査定してもらえることもあるので、ローンを全額返済した上で次に乗る車の頭金を作れるわけですね。
もちろん、ディーラーの査定額よりも安い金額しかつかない場合もあるので、買い取り業者の査定は1社に絞らず複数社の査定を受けることをおすすめします。
その際には、一度に複数の業者で査定を受けられる一括査定を利用すると良いでしょう。
ディーラーに車を返すよりも別の業者に買い取ってもらった方が損しないってこと?
そういったケースもあるってことですね。
車の査定額って査定する側の基準によって金額が大きく変わりますよね?
出来るだけ高く車を売って、そのお金を一括返済に充てるってわけね。
基本的にはその考え方でOKです。と言っても、そのような面倒な手順が有るわけじゃないんですよ。
詳しくは次の項目を見てみましょう。
別業者で売却する時の手続き
「ディーラーに車を返却する場合は簡単な手続きで済みそうだけど、別の業者で残クレ車を売るとなると手続きがややこしい事になりそう・・・」
そう思うのも当然ですよね。
残クレ車両は厳密には自分が所有者となっているわけではなく、ホンダならホンダファイナンス・トヨタならトヨタファイナンスと、正式にはそのメーカーの所有物となっていて、使用者が自分になっているというシステムなのです。
そうなってくると、「別の業者で車を売却する際には一旦車を買い取って自分名義にしないといけない?」「まずは一括返済をしなきゃ売れないんじゃないの?」なんて考えてしまうものです。
しかし安心してください。
別の買い取り業者で車を売る場合、残クレ車両であっても買い取ってくれますし、必要な手続きは全て代行してくれます。
売却が決定したその後は、一切ディーラーへの手続きも連絡も必要ありません。
とは言え、「査定額が残りのローン額より少なかった場合は、残りのローンをディーラーに支払っていく必要があるんじゃないの?」と思う事でしょう。
しかしながら、買い取り業者は一括で車を買い取ってしまうため、差額分はディーラーではなく買い取り業者へ支払う事となります。
別業者売却の具体例
上記の内容では少し分かりにくいかもしれないので、具体的な例に例えてみましょう。
300万円でトヨタの残価設定クレジットを利用してプリウスを買ったとします。
- 3年契約で残価は160万円
- 頭金なしで毎月の返済は4万円×35回
この場合「4万円×35回=140万円」それに加えて「最終支払(車の返却)で160万円」で合計300万円を完済することとなります。
この条件で契約開始後1年経った時期に残クレを途中解約したいとなった場合、4万円を12回返済している状態ですね。
つまり・・・
支払額「4万円×12回=48万円」
残りのローン額「300万円-48万円=252万円」
となります。
ディーラー査定が200万円だったと仮定すると・・・
「252万円ー200万円=52万円」
車を返却した上で、差額分の52万円をディーラーに返済する必要があります。
(※繰り上げ返済に対応していないディーラーの場合、差額分を一括返済しなければなりません。)
買取査定が240万円だった仮定すると・・・
「252万円ー240万円=12万円」
まず初めに、買い取り業者が252万円をディーラーに支払って車を買い取ります。
その後、査定額の240万円は車を引き渡すことで相殺されるので、差額分12万円を買い取り業者に支払います。
(※買い取り業者によっては分割払いに対応してくれる事もあります。)
※厳密には利息の計算が絡んでくるので、もう少し複雑な計算になります。
色々なところで手続きをしないで済むのは手間が省けていいわね♪
売却する業者が決まった後の手続きはそんなに難しい物ではありませんよ。
ただし、売り先が決まるまでは色々な業者で査定を受ける事になるので面倒だと感じるかもしれませんね。
決断は早い方が良い
もしも、現状の車を買い替えたい、別の車に乗り換えたいと思うのであれば、出来るだけ早く動いた方が得策です。
何故なら残価設定クレジットの特性上、満期まで乗り続けたとしても、初期段階で取り決めた残価と同じ金額とならない事が多いからです。
どういうことかと言うと、契約書を確認すればすぐに分かることですが、一定の条件を満たしていない場合は残価を保証してもらえません。
外装の傷や凹み・内装の汚れや傷・走行距離・故障・改造・色褪せ・etc…
言ってしまえば、ディーラーはできるだけできるだけ安い(残価よりも下の)金額で車を引き取る事で利益を出したいので、車の隅々までチェックして査定額を下げようと粗探ししてきます。
当然、状態が悪ければ、残価通りの金額で引き取ってはくれないので、満期まで乗り続けたとしても大抵の場合は、追加料金を支払わなければならないわけですね。
そして、車は走るために存在しているので、査定を落とす原因となる傷や凹みのリスクはつきものです。
仮に、安全運転を心がけていたとしても、飛石など運転者に全く非がない原因でも傷があれば残価通りの価格で引き取ってはくれません。
また、レンタカーのように細心の注意を払って、気を使いながら乗り続けなければならない気苦労なんかもあったりします。
残価クレ車両解約のメリット
前項でも述べましたが、残クレ車両を早期に手放すことで、できるだけ高い価値の状態で売却することができます。
結果的に、車を手放す事とはなりますが、次に乗る車のグレードを下げる事で月々の支払額をコントロールすることができるわけですね。
そしてもう一つ、利息分を払わなくてよくなる事が大きなメリットとして上げられます。
何度も言いますが、残価設定ローンは「解約」ではなく「一括返済」にて決着をつけることとなります。
つまり、一括返済をすることで、利息分を支払う義務がなくなるわけですね。
「そんなの当たり前でしょ。」と思うかもしれませんが、実は普通のマイカーローンと残クレでは金利が大きく違っています。
基本的に、残クレとマイカーローンでは残クレの方が金利が高い傾向にあります。
さらに、「残価」という形で総支払額の大部分を後回しにしているわけですね。
この「残価」は月々の返済額を少なく抑えるというメリットがある反面、最後の最後まで利息の対象となる厄介者というデメリットがあるのです。
要するに、残クレの特性上普通のローンより利息の総額が高くなってしまうので、一括返済によって利息を消すことが大きなメリットであると言えるわけですね。
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