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従業員が会社の車を使用して起こした事故は会社が運行供用者責任を負いますので、被害者に対して会社が損害賠償を支払う義務が生じます。
ただ、従業員が会社の自動車を利用したとしても色々な利用シーンが考えられると思いますので、ここではそれらを個別具体的にチェックしていきたいと思います。
従業員が勤務時間外に会社の車で事故を起こした場合
従業員が業務中に会社の車(社用車)で事故を起こした場合には当然会社は運行供用責任者となりますが、事故が勤務時間外に起こったとしたらどうなるでしょうか?
例えば、従業員が昼食を取るために社用車を勝手に持ちだして事故を起こしたような場合です。
会社は当然無断での使用を禁止する規定を作っているはずですし、その規定を無視して持ちだしたような場合には会社に責任は無いように思いますよね。
しかし、たとえ無断で持ちだしていたとしても過去に何回も無断で使用していた事実が有る場合には会社に責任が発生します。
回数に関して法律で決まっているわけではありませんが、おそらく4,5回の無断使用で会社の責任が生まれてくるでしょう。
形式的に無断使用を禁止にしていたという理由では会社が運行供用者責任から逃れる事はできないのが一般的です。
この場合、会社が運行供用者責任を免れるためには何度も社用車を無断利用していた従業員に対して何らかのペナルティーを発動させていたのであれば運行供用者責任を問われない可能性は有ります。
例えば減給とかですかね。
従業員の休日中の事故と会社の責任
従業員が休日に勝手に社用車を使用した場合にはどうでしょう。
実はこれも会社の運行供用者責任が発生します。
休日の事まで含めて考えられるのは会社にとっては酷かもしれませんけどね・・・。
営業車を常日頃から使っている従業員の場合
例えば営業車を利用している従業員が休日に営業車で事故を起こした場合には社用車の管理をこの運転手に休日を含めて全面的に委ねていたと考えられるので会社は常に責任を負うことになります。
営業車を利用しているとは何も営業マンだけでなく、トラックの運転手やバスの運転手なども該当するでしょう。
事務員など普段車を使わない従業員が事故を起こした場合
事務員など運転手では無い人の場合には会社の車両管理体制がどうだったかが問題になってきます。
例えば社員が休日中に社用車を無断で借りて事故に遭ったような場合が考えられます。
新入社員がこのような勝手な行為をする可能性はかなり低いですが、会社の雰囲気に慣れている社員や管理体制を知っている社員などはこのような勝手な行動をする事があると思います。
コンプライアンスと叫ばれて10年くらい経ったでしょうか?しかし恐ろしいのは「慣れ」です。
特に小さい会社では管理体制が甘い為、事例のような事が発生しやすいと思います。
このような事故において無断使用を禁止する規則だけでは会社は運行供用者責任を免れる事はできず、また車庫に入れずに放置してあったような場合にも会社の運行供用者責任は発生しますし、車庫に入れていても誰でも運転できるような状態であった場合にも責任は発生するでしょう。
まとめ
会社が保有する車が事故を起こしたような場合には、例え勤務外であっても休日であっても管理体制に不備があれば会社の運行供用者としての責任は発生するのです。
そのため会社側としては管理体制を厳重にする事と絶対に勤務外で使用させない事を徹底する事が重要です。
また被害者としては逆にこういった会社の管理体制の甘さを突く事によって資力のある会社に対して損害賠償請求をする事ができます。
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