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法テラスを知っていますか?弁護士に仕事を依頼したいけど、お金がないという人の強い味方です。
法テラスがどういうもので、どのように運営されているか以下で見ていきましょう。
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法テラスとは??
法テラス(正式名称:日本司法支援センター)は総合法律支援法という法律に基づいて、国が出資して運営している公的団体で弁護士がスタッフとして所属しています。
法テラスが行っている業務は以下の通りです。
- 民事法律扶助業務
- 情報提供業務
- 犯罪被害者支援業務
- 司法過疎対策業務
- 国選弁護等関連業務
このサービスの中でも最も特徴的な民事法律扶助業務について見てみましょう。
民事法律扶助業務とは??
民事法律扶助は、裁判をしたいけどどの弁護士に依頼したらいいかわからないし依頼する費用もないという方々が、弁護士の紹介を受けて、さらにその費用を一時的に借りることができる制度です。
ただ、これはいきなり法テラスに電話をして無条件で貸してくれる訳ではなく、法テラス事務所に法律相談をする必要があります。
もしかしたら、そもそも裁判をする必要のない内容かもしれないですからね。
誰でもサービスが受けられる?!
民事法律扶助は誰でも援助を受けられる訳ではなく、3つの条件があります。
- ①裁判をするお金がないこと
- ②裁判をして勝訴の見込みがあること
- ③民事法律扶助の趣旨に反しないこと
①「裁判をするお金がないこと」とは?
そもそもお金がない人に対して資金援助をして裁判を受けられるようにすることが趣旨なので、お金がある人はサービスを受けられません。
お金があるかないかの判断基準はあらかじめ公開されていて、以下の条件を満たす必要があります。
申込者と配偶者の手取り月収額(賞与を含む)が下表の基準を満たしていることが必要です。
人数 | 手取月収額の基準 | 家賃又は住宅ローンを 負担している場合に加算 できる限度額 |
---|---|---|
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) | 4万1,000円以下 (5万3,000円以下) |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) | 5万3,000円以下 (6万8,000円以下) |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9,200円以下) | 6万6,000円以下 (8万5,000円以下) |
4人 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) | 7万1,000円以下 (9万2,000円以下) |
東京、大阪など生活保護一級地の場合は()内の基準を適用します。
同居家族が4名を超える場合は、1名増加する毎に基準額に30,000円(33,000円)を加算します。
申込者と配偶者の預貯金残高については以下の表の水準を満たす必要があります。
(不動産【自宅】は除く)、株などの資産がある場合はその時価を含める)
人数 | 現金・預貯金合計額の基準 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人以上 | 300万円以下 |
課税証明や源泉徴収票、生活保護受給証明書などの証明書類を提出し、審査をしてもらうことになります。
審査の結果、基準の額を超えてしまっている人の場合はサービスを受けられないので、弁護士会や司法書士会といった他の機関を紹介してもらうことになります。
②「裁判をして勝訴の見込みがあること」とは?
法テラスで法律相談をした結果、全く裁判に勝てる見込みがないのであれば、援助はしてくれません。
お金のない人に対して勝てる見込みの無い裁判費用を貸してしまうと、そのお金は返ってこない可能性が高いですからね。
自動車事故で考えると、被害者側からの裁判で負けることはあまりないでしょうから審査が通る可能性が高いです。
③「民事法律扶助の趣旨に反しないこと」とは?
嫌がらせをされたからちょっと仕返しをしてやりたいといった報復的な感情を満たすためだけの裁判や、裁判をして注目を浴びたいといった広告宣伝目的などの場合は、本来の趣旨に反しているのでサービスの提供を受けられません。
裁判費用の返済はどうなる??
審査に通過すると裁判費用を立替えてもらうことができ、裁判が終わったら一括か分割で裁判費用を返済をすることになります。
裁判に勝っても裁判費用までは勝ち取ることができないのでは??と思うかもしれませんが、そうとも限りません。
一般的な民事の裁判では弁護士費用は勝っても負けても負担する必要がありますが、交通事故の様な相手の不法行為が元になった損害賠償責任を争う場合は、弁護士費用についても損害賠償金に上乗せされて支払われることになります。
そもそも、加害者のせいで弁護士を雇わないといけなくなったのだから、弁護士費用も被害者にとっては損害の一部でしょうという考え方に基づいています。
ですので、自動車事故の場合には大概は被害者が敗訴するということはないので、弁護士費用の返済についても心配する必要はありません。
法テラス事務所はどこにある??
法テラス事務所は「法テラス○○事務所」(○○には「青森」や「尼崎」のように、地域の名前が入ります)という名前で全国各地にあります。
2014年時点では以下の地域に合計85カ所あります。
地域 | 事務所数 |
---|---|
北海道 | 5 |
東北地方 | 9 |
関東地方 | 19 |
中部・北陸地方 | 8 |
近畿地方 | 8 |
中国地方 | 7 |
四国地方 | 7 |
九州・沖縄地方 | 21 |
司法過疎地域事務所とは?
都市部にはかなり多くの弁護士が事務所を構えているので問題ないですが、ほとんど開業弁護士がいないような田舎の地域では適切に司法サービスを受けられない可能性があるため、司法過疎地域事務所として事務所を設置されています。
ここに所属するスタッフ弁護士は一般の法テラス事務所のスタッフ弁護士と違い、一般の開業している弁護士と同様、法律相談・事件の受任等の法律サービスを提供しています(有料サービスです)。
まとめ
裁判をするといっても、時間も費用もかかるから中々出来ないと断念していた方もいるかと思います。
時間についてはどうしようもないですが、法テラスを利用することで費用に関しては解決できるかもしれませんので、裁判で悩んでいる方は一度法テラスに相談してみるといいですね。
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