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示談を始めるタイミングはいつが良いのか?という疑問を持つ人が多いです。
当然ですよね、交通事故に慣れている人なんてそういませんので。
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その為ここでは疑問に答えるべく示談を開始する時期・タイミングについて説明しますが、その前に示談の開始時期を考える上で重要になってくる点を2つ紹介しますのでしっかりと覚えて下さい。
①「示談は一度成立すると、その後に後遺障害が発生した場合などを除き、原則として内容を変更する事はできない事」
②「損害額が確定してから示談を行う事」
それでは、被害者が死亡した場合と傷害(後遺障害)を負った場合に分けて示談開始のタイミングについて説明していきます。
被害者が死亡した場合
被害者の方が死亡してしまった事故の場合には葬儀が終了したらすぐに示談交渉を開始しても問題ありません。
後遺障害の場合と違い死亡の場合には葬儀が終わると被害者の損害額は確定するのでいつ示談交渉に入っても問題無いのです。
しかし、一つ注意が有るとすれば加害者側の行動です。
家族が亡くなり気が動転してまだ正常な思考が出来ない被害者に事故直後に示談書にサインをさせようとする輩もいます。
その辺の悪どい手口は下記記事を参照にして下さい。
参考記事:【示談交渉術】慰謝料を抑えられるなら未亡人にも容赦しない損保会社
被害者が傷害を負った場合
傷害の場合には、怪我が治った時が示談を開始するタイミングです。
なぜかというと、傷害の場合は損害額の構成要素は、治療費と休業損害(仕事を休んだ事による収入の減少)と慰謝料(入通院の肉体的・精神的損害)だからです。
つまり、治療費は怪我が完治するまでその実費額は確定せず、また慰謝料は入通院日数を計算の基礎をするのでこれも怪我の完治まで損害額は確定しないからです。
被害者が後遺障害を負った場合
後遺障害を負った場合には、症状が固定した時が示談を開始するタイミングです。
後遺障害の場合には等級が確定しないと正確な損害額は計算できないためです。
等級の認定は症状固定後に行うので、後遺障害を負った場合の示談開始のタイミングは症状が固定した時となります。
治療期間が長引いた場合の問題点
傷害・後遺障害の示談開始のタイミングである「怪我が治った時・症状が固定された時」までの時間が長くなってしまった場合に、治療費や生活費が払えなくなってしまうといった問題が発生する事があります。
何ヶ月もの入通院で収入が減ってしまうと当然こういった苦しい状況になってしまいます。
家族がいれば尚更でしょう。
こういった場合には最終的な示談は怪我が完治してからと約束(書面)をして、月々の治療費や生活費を支払ってもらうように示談をするほかないと思います。
この際、領収書には「何月分」の治療費などと詳細に記載するようにしましょう。
ただこの方法で解決するのは加害者が応じてくれた場合で、もし加害者が支払ってくれなければ問題の解決には至りません。
ですので、この場合には自賠責保険の仮渡金制度の利用又は自賠責保険へ被害者請求をする方法で問題を解決する事になります。
この2つの方法では示談書も加害者側のハンコなどもいらないので被害者のみで請求する事ができます。
参考記事:自賠法16条-被害者による保険者への直接請求権
ただしこれらの方法でも完全な問題解決にはならないのです。
なぜなら、自賠責保険の傷害の場合の補償限度額は120万円なので、治療が長引いてしまっている状況ではすぐにこの限度額を使いきってしまうからです。
限度額を使いきってしまった場合にはあとは加害者に支払ってもらうしか方法はありません。
ですが月々の治療費や生活費を支払ってくれない加害者が素直に支払ってくれるとは思えません。
よってここで被害者が選択できる方法は2つです。
1つは加害者側が任意保険に加入していたら任意保険会社に交渉する方法です。
ただし、任意保険会社は損害額が確定していないのに保険金を支払う事は原則として行っていないので恩情に訴える他ありませんが、最近はある程度対応してくれるようです。
2つ目は裁判所の仮処分決定を利用する方法です。
これは加害者が支払ってくれない場合の最終手段です。
詳細については以下の記事を御覧ください。
まとめ
示談を開始するタイミングについて簡潔に以下にまとめておきます。
①被害者が死亡した場合-葬儀後すぐに開始してもよい
②被害者が傷害を負った場合-怪我が完治してから
③被害者が後遺障害を負った場合-症状が固定してから
基本的には上記のタイミングが示談開始の時期となります。
ですが問題点にも挙げたように治療が長引くような場合もあるので、示談交渉は最終的な示談(総損害額を交渉で決める)だけではなく、月々の治療費なども念頭に置いて示談交渉をしていく必要がある事は忘れないでください。
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