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交通事故の捜査は、警察による事故直後の実況見分、その後の捜査そして検察の捜査へと移っていきます。
実況見分は事故現場の状況や当事者の車両の状況や意見を基に警察官によって実況見分調書が作成されます。
この実況見分時の注意点やポイントについてはこちらの記事を参考にしてください。
事故当日の実況見分が終わると、ある程度日数をおいて警察による事故の当事者(加害者、被害者など)や目撃者に対して取り調べ捜査が始まります。
この時の警察の捜査は悪質な運転の事故(ひき逃げ、飲酒運転など)や証拠隠滅のおそれがある場合には強制捜査(刑事訴訟法第197条但し書)となりますが、任意捜査(刑事訴訟法第197条1項本文)が原則となっています。
任意捜査は捜査の対象となっている人の出頭や持ち物の検査などの捜査に対しての承諾が必ず必要で、承諾無く行われて得られた証拠は違法に収集されたものとして証拠として認められません。
これに対して強制捜査は本人の承諾の必要はなく、逮捕・勾留して捜査が行われます。
しかし、強制捜査は本人の人権を大きく侵害する恐れがあるので、原則裁判所の令状が必要になります(刑事訴訟法第218条1項)。
警察の捜査が終了すると次に検察の捜査へと移行します。
この際に警察が行った捜査書類(実況見分調書や供述調書など)も検察へと送られ、検察はこれらの捜査書類を基に捜査をし被疑者の起訴・不起訴の判断を行います。
そのため警察の捜査の際に作成する実況見分調書と供述調書は被疑者のその後を左右するとても大切な捜査書類となります。
ですので被疑者となってしまった場合には警察の捜査を受ける際には注意する点がいくつかあるので、それらのポイントを紹介していきたいと思います。
起訴・不起訴の判断に関してはこちらの記事を参考にしてください。
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警察の捜査での注意点
まず捜査を受ける際の注意点を以下にまとめたので見てください。
- 原則任意捜査なので、出頭は強制ではない(刑事訴訟法第198条1項但し書)が誠意ある対応が必要
- 供述拒否権(憲法第38条1項、刑事訴訟法第198条2項、311条1項)がある
- 供述調書に誤りが無いか内容を確認する 等
原則任意捜査なので、出頭は強制ではないが誠意ある対応が必要
任意捜査はあくまで任意なので警察の指定した日時が都合が悪ければその旨を伝えて日時を変更してもらう事が可能です。
ただ時が経つにつれ記憶は曖昧になっていきますので、なるべく早く警察の捜査に協力した方がいいでしょう。
被疑者の場合には正当な理由も無しに任意捜査を拒むと、証拠隠蔽や逃亡のおそれがあるとされて強制捜査に移行し逮捕勾留される事にもなりますので警察の捜査には誠意ある対応が必要になってきます。
供述拒否権がある
警察の取り調べ捜査に対して自分の言いたくないことを言う必要はありません。
なぜなら取り調べ捜査での内容は供述調書に記録されその後の検察の捜査また裁判になった時の証拠として利用されるからです。
もし被疑者として取り調べを受けるような事があるなら弁護士に早めに相談して供述内容の打ち合わせを行った方がいいかもしれません。
供述調書に誤りが無いか内容を確認
捜査が終了すると警察官は作成した供述調書の内容に誤りが無い事を被疑者に確認(刑事訴訟法第198条4項)してもらい署名・押印を求めます(刑事訴訟法第198条5項)。
この確認作業を軽く見てはいけません。
さきほど説明したとおり供述調書は後々の捜査や裁判で証拠となりますので、細かい所までしっかりとチェックする必要があります。
もし、供述調書に間違いや納得できない箇所があれば削除・訂正を求め、その要求が通らない場合には供述調書への署名・押印を拒否しましょう。
確認せずに署名・押印をしてしまい、もし警察の捜査を受ける事になった場合には取り返しの付かない事になるかもしれませんよ。
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