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信号機の無い交差点での「左折車」と「直進車」の過失相殺について見ていきましょう。
信号機が無い交差点での左折車と直進車の事故
信号機の無い交差点での、左折車と直進車の事故の過失割合は道路状況によって異なります。
4つに場合分けして、過失割合を見ていきましょう。
以下の4パターンはあくまで基本的な過失割合となります。
さらに詳細な事故状況(修正要素)を加味すれば、過失割合は変化します。
同じ道幅だった場合
左折車及び直進車が走っている道路の幅が同じだった場合には、お互い50%の過失割合となります。
直進車の過失割合の方が有利になりそうな気もしますが、このケースでは同じと判断されます。
直進車の道幅が広い場合
直進車の道幅が明らかに広い場合には、直進車の過失割合は30%、左折車の過失割合は70%となります。
道が広い事で、直進車に優先権が発生するので、直進車の過失割合がかなり有利になります。
左折車に一時停止規制が有る場合
左折車に一時停止規制が有る道路では、直進車の過失割合は20%、左折車の過失割合は80%となります。
左折車が一時停止をしてから左折した場合には、直進車の過失割合に10%が加算されます。
また、左折車に一時停止無視の違反が有った場合には左折車の過失割合に10~20%が加算されます。
直進道路が優先道路の場合
優先道路での直進車と左折車の事故は、直進車の過失割合は10%、左折車の過失割合は90%となります。
事故事例と修正要素
もう少し詳細な事故の事例で過失割合を考えてみましょう。
「田舎道」で直進車と左折車の2台の車が衝突事故を起こしました。
事故現場は、道路の幅が同じ信号機の無い交差点です。
警察の実況見分によると、直進車は減速せずに交差点に進入したようです(時速15kmのスピードオーバー)。
一方、左折車は徐行してから交差点に進入。
この事故の過失割合は、基本要素だけで考えると同じ道幅の直進車と左折車の事故なので、直進車・左折車ともに過失割合は「50%」となります。
しかし、道幅以外の修正要素を加味すると過失割合は以下のように変化します。
最終的な直進車の過失割合は、減速しなかった事(+10%)と時速15kmのスピードオーバーであった事(+10%)、そして田舎道であり見通しがきく交差点であった事(+10%)を考慮すると、「50%+30%=80%」となります(左折車は20%)。
上記のような修正要素に加え、考えられる修正要素は以下の通りです。
左折車の修正要素 | 直進車の修正要素 |
---|---|
大型車 | |
著しい過失 | |
重過失 | |
徐行無し | 見通しのきく交差点 *1 |
夜間 *1 | |
減速せず *2 |
*1 同じ道幅の交差点の場合にのみ修正要素となります。
*2 優先道路の場合には、減速していなかったとしても過失割合は修正されません。
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