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現在、国内の損保会社(共済含)で、「臨時運転者特約」を付帯出来る会社は有りません。全ての保険会社で廃止されています。
廃止された経緯を見る前に、そもそも「臨時運転者特約」とは何なのか?について見ていきましょう。
そもそも臨時運転者特約とは?
自動車保険を契約する際に「運転者年齢条件」を設定しますよね。「何歳以上を補償」などという項目です。多くの家庭で、最も年下の家族の年齢に合わせて、年齢条件を設定しているでしょう。
しかし、友人・知人などが運転する際には、家族用に設定している年齢条件よりも年下の人が運転する可能性も有ります。この時、その友人・知人が事故を起こしてしまうと、年齢条件に合致していないわけですから、保険金がおりません。
後述しますが、これは昔の制度での話です。勘違いしないようにして下さいね。
ここで「臨時運転者特約」の登場です。臨時運転者特約とは「臨時に運転する人に関しては年齢条件の設定を外してあげますよ~。だから臨時運転者が起こした事故なら年齢条件関係なく補償しますよ~」という特約です。
この特約を付帯しておけば、年齢条件を臨時運転者の年齢まで下げる必要がなく、保険料の節約が可能だったんですね。
臨時運転者の範囲
では、「臨時の運転者」とは誰なのか?
それは、下記に該当する者以外の運転者の事を指します。
- 1.記名被保険者
- 2.1の配偶者(内縁の妻含)
- 3.1と2の同居の親族
- 3.1と2の別居の未婚の子
- 5.1から4までの業務に従事している使用人(自営業者に雇われている従業員なんかが該当します。)
- 6.自動車の修理工場などの車関連業務に従事している人
見て貰えば分かりますが、友人や知人は普通に「臨時運転者」に該当します。会社の後輩なんかも当然含まれますね。また、少し複雑ですが、結婚して別居している子供及び離婚して別居している子供も「臨時運転者」に該当します。
年下の友人・知人などに車を運転させる機会がある人にとって、「臨時運転者特約」は必須の特約だったんです。
勘違いしやすいところですが、あくまでも「臨時運転者特約」は【年齢条件】に関する特約です。運転者限定条件(家族限定とか本人限定とか)に、友人や知人などの「運転者条件」を付け加えるものでは有りません。
従って、家族限定などの運転者限定条件を設定して保険料を節約している場合には、そもそも臨時運転者に該当する人は臨時運転者特約の有無に関わらず補償対象外なので、付帯する意味が無かったんですね。
つまり、臨時運転者を補償範囲に含めるには、まず運転者の範囲を「限定なし」に変更する必要が有ったんです(この点は今の制度と同じですね)。
臨時運転者特約が廃止された理由
昔は、「臨時運転者特約」は多くの人にとって必須の特約でした。しかし、今ではどの保険会社でも採用されていません。
その理由は、運転者年齢条件が適用される範囲が変わったからです。
以前は「運転者年齢条件は家族以外にも適用される」という方式だったのですが、これが「運転者年齢条件は同居の家族以外には適用されない」という方式に変わったんです。
つまり、運転者年齢条件を設定していても、他人なら年齢を問わず補償するという形になったという事です。こうなると「臨時運転者特約」の存在意義は有りませんよね?だから廃止されちゃったんです。
まとめ
先程も書きましたが、今回の「臨時運転者特約」の話は過去の制度を説明したものです。今の制度とごっちゃにしないように注意して下さいね。
・結婚している子供がお盆に帰省する
・今度友人に車を貸す
こういった状況になっても、今の制度では「運転者年齢条件」を変更する必要は有りません。
ただし、家族限定などのように運転者限定条件を設定している場合は、「運転者限定なし」に変更する必要が有る点には、注意してください。
なお、同居の子供の年齢条件を外したいなら「子供特約」を検討してみましょう。採用している保険会社は少ないですが、保険料の節約に繋がります。
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