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再保険って知っていますか??
損保会社の決算書をみていると貸借対照表に再保険貸・再保険借勘定がでてきますし、正味収入保険料の計算式にも再保険料というものが出てきます。
決算書を見る上でも、また、保険会社の仕組みを考える上でも再保険というものは重要となってきますので内容を見てみましょう。
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再保険とは??
例えば、保険会社は自動車保険の申込を受けると保険料を契約者からもらい、もし保険事故が起きたら保険会社が保険金を支払ます。
これが一般的な保険のあり方ですよね。
この保険会社が契約者と直接保険契約をしているのを元受保険といいます。
しかし、自動車保険の様に一件当たりの保険金額が保険会社の財政状態からしてそれほど大きくないものであれば問題ありませんが、大きなタンカーや旅客機などの場合はもらえる保険料も大きい反面、もし保険事故が発生したときに一件あたりの保険金が数百億円とか数千億円といった莫大な金額になってしまい、保険会社の経営状態に重大な影響を与えるかもしれません。
もしかしたら保険会社が破綻するかもしれません。
そのような大きなリスクをもった案件については保険会社は両手をあげて喜んで契約を結ぶということはなかなかできませんよね。そこで使うのが再保険です。
自ら元受保険として契約をして、他の保険会社にその保険の一部を引き受けてもらうのです。
再保険はリスク分散をするためにある仕組みでいわば保険会社のための保険のようなものです。
ちなみに、あまりに保険金額が大きい場合、再保険をさらに再保険に出すという再々保険というものも存在しています。
また、再保険を専門にしている会社も存在しており、有名なのはトーア再保険株式会社や日本地震再保険株式会社などがあります。
再保険の具体例
元受保険会社である損保会社Aが大口の案件、例えば巨大タンカーの1,500億円の保険を引き受ける事になりました。
ただし、損保会社Aは1,500億円もの責任は自社のみでは負う事ができず700億円が限界だという場合に残りの800億円については他の損保会社Bに再保険として引き受けてもらいます(再保険契約)。
実際に保険事故が発生した場合、損保会社Aは最大1,500億円を支払う義務が生じますが、再保険として800億円は損保会社Bが引き受けてくれているのでAはBから最大800億円を回収することができます。
結果として損保会社Aは責任を負う金額は最大700億円ということになるのです。
損保会社は最大1,500億円の保険金というリスクを700億円まで分散することができたことになります。
再保険の用語等
再保険については独特の用語があります。
頭が混乱しそうな用語ですが、少しみてみましょう。
上にも出てきましたが、保険契約をするときに契約者と直接契約をする保険を元受保険といいます。
一方で、元受保険を再保険にだした場合、元受保険会社からみるとその保険は出再保険(しゅっさいほけん)と呼ぶ事になり、出再保険者となります。
再保険を受けた損保会社からみるとその保険は受再保険(うけさいほけん)と呼ぶ事になり受再保険者となります。
再保険契約を結ぶと、出再保険者は再保険を受けてくれた受再保険者に対して保険料を払うことになります、これを出再保険料(費用科目)と言います。
そして、保険事故が起きて受再保険者から保険金を受け取った場合その保険金は再保険金(収益科目)と言います。
逆に受再保険者が受け取った保険料は受再保険料(収益科目)と言います。
貸借対照表科目としても再保険借や再保険貸というものが登場します。
再保険貸は未収となっている再保険金や未収となっている受再保険料等の債権に使われます。
一方の再保険借は未払いとなっている再保険料や未払となっている受再保険金等の債務に使われます。
結構ややこしいですが、一度理解してしまえば間違えることはありません。
まとめ
再保険については保険会社同士の契約関係なので日常生活をしていて一度も聞いた事がないという方もかなりたくさんいると思います。
こういった保険が背景でどんな感じで運営されているかを知る事は面白いでしょうし、財務諸表を見る上では再保険は基礎的なことは知っておかないとチンプンカンプンになってしまうのでこの記事の内容程度はおさえておくと便利です。
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