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2012年10月に自動車保険の等級制度が改定されました。それにより、事故有り等級制度・事故有係数適用期間が導入され、事故を起こした利用者に対するペナルティーが、かなり厳しくなったのは記憶に新しいところですよね。
そして、この改定に合わせて、各保険会社は次々と「等級プロテクト特約」の廃止を決定しました。2015年以降、全ての保険会社で等級プロテクト特約は廃止されています。
JA共済やセコム損保などでは、2014年度まで等級プロテクト特約が継続されていましたが、それも2014年10月1日以降が保険始期日の契約から廃止されました。
そもそも等級プロテクト特約とは?
等級プロテクト特約とは、本来ならば3等級ダウンするような事故を起こしたとしても、この特約を付けておくことで「等級が据え置かれる」特約の事を言います。
据え置かれるだけであって、翌年度の等級が上がる訳では有りません。あくまでも「翌年度の等級ランクを3つ下げるのではなく、据え置きにしてあげるよ~」という特約です。それでもカウント事故として取り扱われないのは嬉しい限りですよね。
ノンフリート等級制度の割増引率表を見れば分かるように、3等級ダウン事故を起こすと、翌年度の保険料はかなり上がってしまいます。
例えば、20等級の人が事故を起こすと17等級に下がりますが、この時の保険料アップ率は約10%(*1)です。
*1 63%の割引率が53%になるので約10%の値上がりと計算。割引率は簡略化のため、改定後の物を使用しています。
年間10万円の保険契約だとすれば、事故を起こしただけで、翌年度の保険料が11万円になってしまう計算です。かなり負担が大きいですよね。等級が低い人であれば、尚更影響は大きくなります。
等級プロテクト特約は、このような「保険料が上がってしまうリスク」を軽減出来る特約として、多くの契約者からかなりの支持を受けていました。
等級プロテクト特約が廃止された理由
廃止された理由は2つ有ると考えられます。
一つは、等級制度の改定により、従来「等級据え置き事故」とされていた事故が「1等級ダウン事故」に改変されて、そもそも「等級を据え置く事故」という概念が無くなった事。
もう一つが「等級プロテクト特約の存在が、保険会社の収益を圧迫してしまったこと」です。元々保険会社は等級プロテクト特約を商品ラインナップに加える事で、保険料収入の増加を目論んでいました。
等級プロテクト特約が出始めた当初は、目玉の特約としてプッシュされていた事を覚えている人も多いのでは?
しかし、この思惑が外れます。特約による保険料収入は増加したものの、従来なら保険金を請求しないような小さな事故でも、保険金が請求されるようになり、結果として赤字商品となってしまったのです。
元々、等級制度の改定自体が「自動車保険業界の収益構造改善」を目的としていましたから、赤字商品を廃止するのは時代の流れだったのかもしれませんね。
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