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突然ですが、車又はバイクの自賠責保険は切れていませんか?
「ドキッ!?」としたあなたは、もしかしたら自賠責保険未加入の状態になっているかもしれません。
自賠責保険は「自動車損害賠償保障法第5条」において加入が義務付けられている「強制保険」です。
また、自賠責保険への加入は車検を通す為の条件となっているので、法律・車検制度の二重構造で自賠責保険未加入車の発生を防いでいます。
こうしたシステムが構築されている理由は、交通事故の被害者が自賠責保険から最低限の補償を受けられるようにするためです。
従って、これに反して自賠責保険切れの状態で公道を走行するドライバーには、それ相応の重い罰則が規定されています。
そこで今回は、自賠責保険に入っていない場合の罰則や行政処分(点数)について紹介します。
250CC以下のバイクや原付きは車検がないので、特に注意してくださいね。
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(自賠責はどこの保険会社で加入しても同じ値段です)
自賠責保険未加入の罰則~罰金・点数はいくら?~
自賠責保険の未加入者への罰則・点数は以下の通りです
(参考:自動車損害賠償保障法第86条の三一号及び道路交通法施行令別表第二の一)。
- 罰則・・・1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 違反点数・・・6点
自賠責保険未加入車での運行は行政処分の点数が「6点」ですので、一発免停となります。
過去3年間に免停・免取の前歴が無ければ、免許停止期間は30日間です。
なお、停止処分者講習を受けることで、免許停止期間を短縮する事ができます。
たとえば、30日の免許停止期間だと1日まで短縮する事が可能です。
車検切れも起こしている場合の罰則は?
冒頭でも書いたように、自賠責保険の加入は車検を通す1つの条件となっています。
具体的に言うと、車検の有効期間中は自賠責保険が有効となるように加入しておく必要があります。
つまり、自賠責保険が切れているという事は車検も切れている可能性が高いのです。
このように自賠責保険も車検も切れている場合の罰則はどうなるのでしょうか?
まずは車検切れ単体の罰則について見てみましょう。
内容は以下の通りです(道路運送車両法第58条1項、同法第108条一号及び道路交通法施行令別表第二の一)。
- 罰則・・・6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
- 違反点数・・・6点
次に自賠責保険切れも同時に起こしている場合について見てましょう。
車検切れと自賠責保険切れの罰則を合算するだけなら話は単純なのですが、実際はそういうわけではありません。
こういう場合には、「観念的競合」という考え方が用いられ、犯した罪のなかで最も重い罰則が適用されます(刑法第54条1項)。
観念的競合とは、”1つの行為”によって”複数の犯罪”が成立する場合の事を指します。
自賠責保険切れと車検切れに当てはめると、”運転するという行為”によって”無保険運行”と”無車検運行”という犯罪が成立している事になります。
そのため、受ける罰則はより重い罰則が規定されている自賠責保険切れの「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が適用されます。
違反点数も12点ではなく6点が加点される事になります。
ただ違反点数は罰則ではなく行政処分なので、観念的競合が適用された結果ではありません。
道路交通法施行令(別表第二の備考一の1)に以下のように規定されているためです。
同時に二以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)によるものとする。
まとめると、自賠責保険切れと車検切れで取り締まりを受けた場合は、罰則が「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」となり、違反点数が「6点」となります。
ただし、これは自賠責保険切れ・車検切れのみの場合であって、仮に人身事故を起こした場合はより重い罰則と違反点数が課される事になります。
自賠責保険切れの事故の補償は任意保険から出る?
自賠責保険が切れているわけですから、当然ながら自賠責保険からの補償は一切ありません。
では、加入している任意保険からは補償を受けられるのでしょうか?
結論から言うと、自賠責保険が切れていても任意保険からは補償を受けられますが、自賠責保険分を除いた金額となります。
つまり、補償額に最大で以下の穴が空く事になります。
- 死亡・・・最大3,000万円
- 後遺障害・・・最大4,000万円
- 傷害・・・最大120万円
例えば、死亡事故で1億円の賠償命令が出た時に、任意保険からは自賠責の限度額(3,000万円)を超えた部分の「7,000万円(1億円-3,000万円)」しか出ないという事です。
当然、残りの3,000万円は自分で支払う必要が有ります。
任意保険は自賠責保険の上積み保険なので、自賠責から払われるべき保険金が任意保険から払われる事はないんです。
もし自賠責保険が切れているのであれば、今すぐに加入するようにしましょう。
被害者になってしまったら「政府保障事業」及び「自身の自動車保険」でカバー
自賠責保険未加入車との事故の被害者になってしまったら、「政府保障事業」及び「自身が加入している自動車保険」で自賠責保険から支払われただろう保険金をカバーするようにしてください。
相手に直接請求するにしても、まとまった金額を支払える可能性はかなり低いです。
政府保障事業では、ひき逃げや無保険車との事故に遭った被害者を救済するために自賠責保険と同額の金額を補償してくれます。
なお、政府保障事業から支払われた金額は、後で加害者に求償されます。
また、自身が加入している自動車保険からも補償を受ける事ができます。
主に利用する補償は以下の通りです。
- 人身傷害補償保険
- 搭乗者傷害保険
- 無保険車傷害保険(死亡・後遺傷害時のみ)
事故の状況(契約車両に搭乗中の事故なのか、それ以外の事故なのか)や契約内容によって、使える補償が異なってくるので、自身が加入している保険会社に相談するようにしてください。
【参考】自賠責保険のステッカーで期限切れをチェック
自賠責保険に加入する際に、250cc以下のバイクの人にはステッカーが交付されます。
このステッカーには、満期となる年数(平成)とその月が記載されているので、それを見て自賠責保険が切れていないか、またいつまで有効なのかをチェックするようにしましょう。
注:ステッカーに記載されている満期月は、月末まで有効という意味ではなく、その月に切れる事を表しています。
詳細な日付を知りたい場合は、保険証券をチェックしてください。
「そんなステッカー有ったかな?」と思う人もいるかもしれませんが、実はこのステッカーは貼付義務が有り、ナンバープレートに貼っていない場合には30万円以下の罰金という罰則を受ける事になります(参考:自動車損害賠償保障法第9条1項及び同法第88条一号)。
実際に、ステッカーを貼付していなくて罰則を受けたという話は聞いた事がありませんが、罰金刑が課される事は一応頭に入れておきましょう。
なお、車検のある車両には自賠責保険のステッカーではなく、車検証のステッカーが交付されます。
この車検証のステッカーも貼付義務があり、罰則(罰金50万円)が規定されているので覚えておいてくださいね(道路運送車両法第66条及び同法第109条八号)。
まとめ
今回は自賠責保険未加入の場合の罰則を中心に紹介しました。
車検が必要な車両では同時に車検切れを起こしてしまう可能性もあるので、その点もしてくださいね。
自賠責保険の保険料は、任意保険に比べれば安いものですから必ず加入しておきましょう。
出典・参考HP:電子政府の総合窓口e-Gov
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