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沖縄県に住んでいる人の自動車保険料は非常に安いです。
本州に住んでいる人達の自動車保険料と比較すると、平均して約20%程度安いのではないかと言われています。
このように保険料が安い事から、沖縄県に住んでいる人に使われる自動車保険料率の事を特別に「沖縄料率」と呼んだりします。
そこで今回は、自動車保険の沖縄料率に関して、保険料がどれだけ安いのか・安い理由などについて紹介したいと思います。
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どれくらい安い?自動車保険の沖縄料率
自動車保険の沖縄料率がどれくらい安いのか、都道府県別に保険料を比較してみましょう。
なお、自動車保険は都道府県・地域によって、保険料が異なります。
以下の表は、2013年における「保険料が安い都道府県」と「保険料が高い都道府県」のランキングTOP3を表したものです。
■保険料が安い都道府県
順位 | 都道府県 | 保険料額 |
---|---|---|
1位 | 沖縄県 | 38,770円 |
2位 | 岩手県 | 41,346円 |
3位 | 島根県 | 42,368円 |
■保険料が高い都道府県
順位 | 都道府県 | 保険料額 |
---|---|---|
1位 | 愛知県 | 53,689円 |
2位 | 岐阜県 | 51,867円 |
3位 | 北海道 | 50,489円 |
やはり沖縄料率が採用されている沖縄県が一番安い結果になっています。
保険料が最も高い愛知県と比較すると、その差は約15,000円にもなります。
ただ2013年のデータではこのような結果になりましたが、数年経った現在も同じ結果になるとは限りません。
そこで、保険料が安かった3県に愛知県と東京都を加えた5都県で、保険料を比較してみましょう(地域以外の見積条件は同一)。
(2017年10月12日時点)
都道府県 | イーデザイン損保 | SBI損保 |
---|---|---|
沖縄県 | 31,380円 | 34,080円 |
岩手県 | 29,530円 | 36,710円 |
島根県 | 34,340円 | 36,710円 |
東京都 | 31,750円 | 36,710円 |
愛知県 | 33,430円 | 36,710円 |
実に面白い結果になりました。
まずイーデザイン損保では、5都県の中で保険料が一番安かったのは沖縄県ではなく岩手県となりました。
そして、保険料が高かったのが愛知県ではなく島根県に。
一方、SBI損保では5都県の中で保険料が一番安かったのは沖縄県でした。
そして、その他の都県は同額に。
この結果から以下のような事が分かります。
- ① 確かに沖縄県の保険料は安いが、必ず一番安くなるわけではない
- ② 自動車保険によって「都道府県」という事故リスク要因の考え方が異なる
今回利用しなかった自動車保険で見積もれば、また違う結果になるかもしれません。
統計やランキングを鵜呑みにするのではなく、実際に見積もる事の大切さが良く分かる事例となったのではないでしょうか。
沖縄県は自賠責保険も安い!
任意保険だけでなく、自賠責保険も安い保険料設定になっています。
こちらの表は平成29年度の自賠責保険料の比較表です。
「本州・沖縄県の本島・沖縄県の本島以外の島(離島地域)」の3区分で比較してみました。
表中の対象車両は「自家用乗用自動車」です。
地域 | 36ヶ月 | 24ヶ月 | 12ヶ月 |
---|---|---|---|
本土 | 35,950円 | 25,830円 | 15,520円 |
沖縄 (本島) | 16,210円 | 12,540円 | 8,810円 |
沖縄 (本島以外) | 10,580円 | 8,750円 | 6,890円 |
本土と比較すると、沖縄本島の保険料はおよそ半額まで安くなっています。
沖縄の離島地域はさらに安い金額設定となっています。
沖縄の自動車保険が安い理由
ネット上には「沖縄料率」が存在する理由に関する様々な憶測が有りますが、代表的な意見として以下のような物が有ります。
■沖縄県は雪国と違って気候もよく、東京や愛知などのゴミゴミした所と比べると人口に対して公道を走っている車が少ないから、事故が起こるリスクも少ない。
確かに、北海道などの豪雪地域と比べると「スリップ」のせいで事故が起きる可能性はかなり低いでしょう。
従って、その辺りは地域別料率として反映されている可能性は有ります。
しかし「人口に対して公道を走っている車が少ない」という理由付けは、少し厳しい物が有ります。交通事故(都道府県データランキング)によれば、以下の様な統計データが出ています。
地域 | 人口10万人あたり 事故発生件数 | 面積100km平方あたり 事故発生件数 |
---|---|---|
沖縄県 | 474.9 | 294.2 |
全国平均 | 521.5 | 178.4 |
人口10万人あたりの事故発生件数は「474.9件」と全国平均の521.5件とそれほど大きく変わりません。(ちなみに、最も少ないのは鳥取県の238.7人で、最も多いのが佐賀県の1,077.6件)。
面積100km平方あたり事故発生件数に至っては、全国平均よりも多い294件となっています。
従って、事故が起こるリスクが少ないとは言えません。
■沖縄の人は、地域の人的繋がりが強いので、事故を起こしても当事者間で済ませている事が多く、そもそも保険金を請求していない。(事故率が高くても、保険金を請求しなければ料率は上がらないという理論)
地域 | 人口あたりの保険金支払事故発生比率 | 人口あたりの保険金支払額(単位:円) |
---|---|---|
沖縄県 | 3.87% | 8,129 |
全国平均 | 4.71% | 14,133 |
こうしてみると、沖縄県は全国平均よりも「人口一人当たりに払っている保険金の支払額も少ない」ですし、「人口あたりの保険金支払事故発生率」も低いです。
従って、このデータから「沖縄の人は事故を起こしても、保険会社を通さずに話し合いを解決している」という説はかなり有効な理由の1つなのでは無いかなと思います。
事実、沖縄県の任意保険加入率は全国一低い数値になっています。
保険に頼らない、という姿勢がここからも窺えますね。
ちなみに、そもそも沖縄料率が出来た経緯に関して書かれているブログが有りましたので、引用して紹介しておきます。(沖縄で損保会社に勤めている人のブログです。)
復帰前の沖縄は自動車による死亡事故も少なく、保険料は比較的低額でした。
そのため、復帰と同時に保険料を本土水準に引き上げることは、沖縄県民に過当な負担を強いることになるとの理由で、沖縄だけは本土との較差が設けられ、優遇された保険料基準が設定されました。
これが「沖縄料率」の誕生です。
本土復帰から40年以上経過した今も、存続している「沖縄料率」。
引用:「沖縄料率」って何? 知ってもらいたい、沖縄だけの特別な…!
昔も今も理由は同じようですね。
本州の人が沖縄県在住として契約しても保険金は出ない
沖縄県の保険料が比較的安いからといって、沖縄県住まい又は沖縄ナンバーと嘘をついて、自動車保険を契約してはいけません。
もしそのような契約をして事故を起こした場合、保険金が出ない可能性が高いです。
なぜなら、住所やナンバーなどは契約時の告知事項として定められており、虚偽の申告をした場合には告知義務違反となるからです。
契約の解除又は補償無しというしっぺ返しをくらう事になります。
そもそも、さきほど紹介したように、沖縄県の保険料が一番安くなるとは限りません。
告知義務違反のリスクを負わずとも、多くの自動車保険の見積もりを取って保険料を比較すれば、保険料が安い自動車保険を見つける事ができます。
現在の住所又はナンバーで自動車保険を契約するようにしてくださいね。
なお、沖縄県から他の都道府県に住所が変わった場合、保険会社に住所の変更を必ず通知してください。
通知しない場合、通知義務違反となり、告知義務違反と同様の結果になります。
沖縄料率に陰りが見え始めたのは2015年10月以降。沖縄の自動車保険料が平均で10%以上も値上げされた!
2015年以前はダントツで自動車保険料が安かった沖縄県ですが、本文でも見たように少しずつ陰りが見えてきました。
陰りが見えるという言い方もおかしな話ですが、徐々に本州と同レベルの保険料になりつつあります。
これは、損害保険料算出機構が「2014年7月」に沖縄の参考純率を2割引き上げた事が影響しています。
これを受けて、沖縄県の自動車保険シェアNo1の大同火災が、2015年10月から保険料を平均10%値上げする事を決定しました。
大同火災が値上げに踏み切った事で、他の大手損保会社も追随するという感じでしょうか。
平成29年度の自賠責保険料はまだまだ沖縄が最も安い県となっていますが、今後は任意保険料だけでなく自賠責保険料も値上げされるかもしれませんね。
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