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「企業が製品の回収を自主的に行った」という、リコールのニュースを見た事は有りませんか?リコールとは、製品に問題が有った為に企業が自主的に製品を回収する事を言います。
実際に問題となった製品だけ回収すれば良いわけではありません。
同じ製造工程で作られた製品や同じ工場から出荷された製品・部品にも、同じ問題が発生する可能性が少なからず有るので、回収作業は非常に大規模になる事が多いです。
そのため、企業の損失は計り知れません。
リコールが原因で倒産した会社は過去にたくさん有ります。
そこで、企業はリコールのリスクに対応する為に「リコール保険」に加入します。
自動車業界でも同様です。
参考:「製造物責任法が適用されるような欠陥車で事故を起こした場合」
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リコール保険とは
リコール保険はリコールで発生する費用を補償する保険です。
流れとしては、まずメーカーが費用を負担します。
そして、リコールの原因が部品メーカーにあれば、リコール費用の一部または全部を部品メーカーに求償します。
そのため、リコール保険はメーカーが負担した費用を補償する契約と、部品メーカーがメーカーに対する賠償責任を補償する契約があります。
また、リコール保険の引き受け方法は「リコール保険単独の場合」と「製造物責任賠償責任保険の特約にする場合」があるようです。
補償内容
リコール保険が補償する費用は、以下の内容が一般的です。
- 告知費用
- 交換・修理費用
- 輸送・梱包費用
- 廃棄費用
- 人件費 等
製品の欠陥の原因が、メーカー側の故意であった場合や法令違反があった場合には、補償の対象とはなりません。
補償項目がこれだけあればかなりの補償金額になりそうですよね。
しかし、国内のリコール保険の多くは「限度額が1億円」となっています。
この金額では全く足りそうに有りません。
では、実際にリコールが発生した場合に、費用は一体どれくらいになるのでしょうか。
リコールの費用
自動車のリコールで、最近大きく話題になったのは「タカタのエアバック」ですよね。
タカタは、自動車メーカーがリコールの届出を行った事を受けて、平成26年度決算で500億円超の特別損失を計上しています。
まだまだリコールが拡大していく事も予想され、損失がさらに膨らむ可能性もあります。
リコール保険の補償額1億円では全く足りないですよね。
では、リコール保険以外に企業は対応策を持っているのでしょうか?
リコール費用は売上原価に計上
トヨタの有価証券報告書を見てみると、このような一文を発見しました。
製品保証およびリコール等の市場処置
トヨタは通常、製品の製造過程およびその他の理由による製品の欠陥に対して保証を行っています。製品保証規定は、期間および使用方法あるいはそのいずれかに対応して決めており、製品の特性、販売地域およびその他の要因によって異なります。
いずれの製品保証も商慣習に沿ったものです。
トヨタは、製品の売上を認識する際に、売上原価の構成要素として見積製品保証費用を引当金に計上します。
つまり、リコールを行う場合の費用を売上原価に計上し、消費者に負担してもらっているという事になります。
平成25年度は、約1,000億円を計上していますので、販売台数(約1,000万台)で割ると「10,000円/台」となります。
あくまで平均値なので、販売地域や車種によって金額は異なると思います。
また、全ての金額がリコールに対するものではありません。
このように、リコール保険以外にも、企業はリコールに備えているようですね。
消費者としては、このような項目が購入金額に含まれているか否かに関わらず、欠陥のある商品を購入した場合には、すぐに企業や国などに申し出るようにしましょう。
また、自動車のリコール状況は、国土交通省のプレスリリースでチェックする事が出来ます。
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