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保険会社は契約者から受け取った保険料を保険金として支払うまでに長い時間がかかることを想定しています。
(実際、個々の契約を見た場合、受け取った保険料が一度も保険金を支払わずに終わる契約もあるでしょうしね。)
支払いまでに期間が有るため、受け取った保険料をただそのまま置いておくのはもったいないですよね。
そこで「株や国債を購入したり、契約者にお金を貸して利息を得たり」と運用する事で保険会社は収益を得ています。
そしてこれは自賠責保険にも当てはまります。
自賠責保険の保険料金は共同プールに一旦拠出され数年間留まり、その後保険金の支払いに充てられます。
この数年間共同プールに留まっている間に一定の運用益が生まれるわけですね。
しかし、自賠責保険はノーロス・ノープロフィットが原則ですから運用益は保険会社のものにはなりません。
自賠責保険料から生まれる運用益はどのように使われているのでしょうか?
自賠責保険で得られた利益の使い道
自賠責保険の運用益は交通事故の防止や被害者やその家族の保護を目的とする事業などに活用されています。
交通事故防止対策としての事業
- 飲酒運転防止インストラクター養成事業支援
- 交通事故防止用機器の寄贈
- 自転車事故防止のための交通安全教育支援
- 優先配慮行動を促す道路上のコミュニケーションと交通安全に関する研究
- 体調変化に起因する事故を予防するためのモデル事業支援
自分が支払った保険料が子供たちの安全の為に役立っていると考えたら嬉しいですよね。
その他にも体調変化に起因する事故予防の為の事業支援はとても重要な事故予防対策ですよね。
運転中に体調が急に悪化した場合等では通常の事故より大事故に繋がる恐れがあります。
このような事故を未然に防ぐ事ができれば事故により悲しむ人が減りますよね。
救急医療体制の整備の事業
- 救急医療機器購入費補助
- 救命救急センターへの救急医療機器購入費補助
- 高規格救急自動車の寄贈
- 救急外傷診療の研修会費用補助
- ドクターヘリ講習会費用補助
自動車事故では一時を争う怪我をしてしまう時もあります。
そのような患者が病院に運ばれて来た時に救命率の向上の為に救急医療機器の購入補助や救急外来の研修会の費用補助など交通事故被害者の多くの命を救う為に救急医療の為の支援事業を行なっています。
また、事故現場で緊急の処置をしていれば助かる命はたくさんあります。
例えば交通事故で大量に出血した場合には30分経過すると約50%死亡する確率が上がるそうです(カーラーの救命曲線)。
そのため現場で早く止血作業をすることは命を救う確率を格段に上げるわけです。
ドクターヘリなら医師が現場に迅速に移動できるので救命率の向上に繋がります。
また処置後もすぐに病院へ搬送できるのでドクターヘリへの支援事業は交通事故被害者の保護にとても大切な事業だと言えるでしょう。
自動車事故の被害者の為の事業
- 交通事故無料相談事業支援
- 交通遺児への奨学金支給補助
- リハビリテーション講習会開催費用補助
- 被害者・その家族等の心のケア推進事業支援
- 訪問看護師の育成と活用促進事業支援
自動車事故防止対策機構の重度後遺障害者の介護費用の支給に自賠責保険の運用益が使われています。
その他にも事故後の被害者のサポートに関わる支援事業もたくさん行っています。
交通事故の損害賠償に関しての相談、示談斡旋をしてくれる交通事故紛争処理センターの費用も自賠責保険の運用益が使われています。
このように自賠責保険の目的が交通事故の被害者保護であるように自賠責保険料の運用益も被害者の保護の為に事故の防止や事故後のケアなど様々な事業に使われています。
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