この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。
自動車保険の契約条件や補償内容などを考えている時によく目にするのが「同居の親族」という言葉。この言葉、自動車保険では良く出てきますが、その定義や範囲をちゃんと理解している人は少ないのでは?
■「同居の親族」が関係してくる主な契約条件や補償
曖昧に理解していると、万が一の事故の時に同居の親族が補償されなかったり、また不必要に補償範囲を広げて無駄な保険料を支払ってしまったり、などといった事になってしまいます。
そのため、自動車保険を契約する上では「同居の親族」をしっかりと理解しておいた方が良いでしょう。
そこで今回は「同居の親族」の定義や範囲(誰の事を指すのか)などについて見ていきたいと思います。
同居の親族の定義
イーデザイン損保のヘルプを見ると「同居の親族」とは以下のように定義されています。
同一の家屋に居住する「6親等内の血族」、「配偶者(内縁を含みます。)」および「3親等内の姻族」をいいます。
血族とは、自分と同じ血が流れている親族の事。
姻族とは、配偶者の親や子供の結婚相手などの血は繋がっていない親族の事です。
上記の「同居の親族」の定義は、イーデザイン損保から引用した物ですが、基本的にどの保険会社でも同じように定義されています。
ポイントは「同居(同一の家屋に居住)」と「親族の範囲」の2つです。
それぞれについて更に詳しく見ていきましょう。
「同居(同一の家屋に居住)」の意味
まず、「同一の家屋」の意味ですが、イーデザイン損保のヘルプによると以下のように定義されています。
同一の家屋の定義:建物の主要構造部のうち、外壁、柱、小屋組、はり、屋根のいずれをも独立して具備したものを1単位とします。ただし、台所などの生活用設備を有さない「はなれ」「勉強部屋」などは、同一家屋として取り扱います。
この事から、「同居(同一の家屋に居住)」とは、1つ屋根の下で生活用設備を共有して生活している事を指します。
庭に建てられた「はなれ」や「勉強部屋」は、そこに生活用設備が無ければ、本家屋と同一の家屋とみなされます。そこで1日のうち数時間生活をしていたとしても、「同居」と判断する事になります。
反対に、「玄関・台所・トイレ・風呂」などの生活できる設備が整っている「はなれ」などであれば、別家屋とみなされます。その「はなれ」に住んでいる場合は「同居」ではなく「別居」となります。
なお、二世帯住宅であったとしても「玄関・台所・トイレ・風呂」などの生活用設備を共有していない場合には「別居」と判断されます(住宅内部で往来が可能な場合は「同居」と判断)。
また、同じマンション・アパートに住んでいても、部屋番号が異なる場合も「別居」となります。
同居の意味を考える際の注意点
自動車保険における「同居」の定義では、以下の3点は関係ありません。
- 生計が同じか別か
- 扶養関係が有るか無いか
- 実際の住所と住民票の住所が同じか別か
住民票に記載されている住所は関係ないので、慌てて住民票を変更する必要は有りません。自動車保険では「実際に住んでいる場所」で判断します。
また、生計も同じである必要は有りません。所得税などの扶養控除では生計が同一(同じ財布で生活している)でないと、控除を受けられませんが、自動車保険においては生活費がどこから出ているか?は関係有りません。
「親族」の範囲に含まれる人は?
「親族」の範囲に含まれる人は「6親等内の血族」、「配偶者(内縁者含)」および「3親等内の姻族」です。
遠い親族となると考えるのが非常に難しいですが、親族図を見れば自動車保険の「親族」の範囲に含まれているかどうか、をすぐに判断できますよ。
(出典:イーデザイン損保-親族図)
専門家からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
【コメント】
この記事と似た内容に、「他人性」があります。これは、損害保険においては非常に重要で、他人であれば対人対物の対象となるからです。
例えば、父(A)、母(B)、娘(C)の3人家族がいて、その娘がDと結婚し、結婚を機に別居した場合を考えます。
Aから見てDは他人ですが、ではCはどうなのでしょうか?例えば、Cが帰省で自家用車にてA宅に帰った際に、Aの車庫にぶつけてしまった場合です。他人であれば、対物賠償の対象となりますが、親族と見なされれば、対象となりません。この辺りの他人性の定義は保険会社によって異なると聞いた事があります。
気になる方は保険会社へ確認されるのが良いかと思います。
まとめ
「同居の親族」とは誰のことを指すのか?詳しく見てきましたが、正直結構細かいですよね。判断に困ることが有れば、加入を検討している(加入している)保険会社に電話をして確認した方が無難です。
また、「同居の親族」だけでなく「別居の未婚の子」の取り扱いについても、確認しておきましょう。別居の未婚の子は年齢条件の適用外ですが、運転者限定条件では家族として考えなければならず、話がさらに複雑になるためです。
なお、家族間の等級引継ぎなどは別居してしまうと出来なくなりますので、同居しているうちに行ってしまいましょう。
■参考記事
「家族間」での自動車保険の等級の引継ぎ
結婚した娘がたまに家に帰ってきて車に乗るのですが、これって大丈夫?(一緒に住んでいない場合)
コメント
この記事へのコメントはありません。